2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of novel silicon compounds that can make innovation in materials field
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20K05524
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
海野 雅史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20251126)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機能物性材料 / シロキサン / ケイ素材料 / シルセスキオキサン / 分子構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造が規制されたシロキサンが実現できる材料の可能性を一気呵成に明らかにし、さらに材料としての応用を検討するため4年間の研究期間を設定した。初年度にあたる今回は、以下の結果をあげることができた。 (1) ヒドロシリル基またはシラノールを有するヤヌスキューブの合成については、その前駆体となるアニシル置換の環状シラノールの合成を行った。この置換基は簡便にクロロシランに変換できヒドロシリル基へと転換可能である。反応性の高さによりまだ単離には至っていないが、条件を工夫し合成する予定である。 (2) 我々は環状シロキサンの一方の置換基を順次延長していく新規反応の展開については、以下の通りの成果を上げた。 (a) 導入する置換基が環状構造の近くに位置する場合は、立体障害により収率があまり上がらないことが明らかになった。 そこで、予め環状シロキサンにヒドロシリル部位を導入し、反応点を遠くした後に、さらに置換基を延長する方法を検討したところ、既存方法では合成できなかった、両端に12員環を有する三環式ラダーシロキサンを42%という収率で初めて合成することができた。今後は得られた化合物のホスト分子としての機能を含め、物性を検討していく。(b) 末端に反応性置換基を有する環状シロキサンについては、シラノールを経由しジメチルビニルクロロシランまたはジメチルクロロシランと反応させることにより99%の収率で目的とするビニル基、またはヒドロシリル基を有する環状シロキサンを合成することができた。 現在は合成した化合物を用い、高機能材料に導く反応を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヤヌスキューブの官能基化については、当初計画していたアリール基を反応させて合成する方法の前駆体を作っている段階である。やや反応性の高さに問題があることが明らかになったため、ヒドロシリル基を最初の反応で導入する方法を新たに計画し、並行して進めている。 反応性の置換基を有するシロキサンの合成については、当初の予定以上に高い収率で目的物を得ることができており、今後他の骨格にも展開していく予定である。
総合して、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的に機能性材料として実用化するためには、企業との共同研究が重要であると捉え、本年度新たに2社と共同研究契約を結ぶ予定である。すでに当研究室で合成した、反応性置換基を有するかご型シルセスキオキサン、ラダーシロキサン、ダブルデッカーシロキサンなどの化合物を提示しており、今後要請のあった化合物の提供について、収率向上や大量合成などを検討していく予定である。
また、かご型シルセスキオキサンに加え、ラダーシロキサンでも大環状を有するものの合成に成功しており、それぞれの骨格の特徴を生かした応用を、実用化を視点に今後検討してく予定である。並行して、簡便な精製法(カラムクロマトグラフィーやHPLCなどを用いず、結晶化+洗浄などの大量合成に適した精製法)を検討し、材料としての実用化への道筋を強化していく。
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Research Products
(23 results)
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[Book] 添加剤の最適使用法2020
Author(s)
海野雅史(分担)
Total Pages
168ページ中の7ページ
Publisher
R&D支援センター
ISBN
978-4-905507-42-0