2021 Fiscal Year Research-status Report
Dinitrogen activation and ammonia synthesis by chromium hydride complexes
Project/Area Number |
20K05534
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島 隆則 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (60391976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 窒素分子活性化 / クロムヒドリド錯体 / イミド錯体 / 水素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、嵩高いC5Me4SiMe3基を配位子とする三核クロムヒドリド錯体が窒素分子と反応し、三核クロムビスイミド錯体が得られることを報告した(JACS2020)。この三核ビスイミド錯体は比較的熱的に安定であることから、当研究室に設置してある高圧水素・窒素製造施設において、高圧水素との反応を検討した。三核クロムビスイミド錯体に対してヘプタン中100気圧の水素を加え、200℃で反応させた。反応生成物には2種類の錯体生成物とともに、遊離のシクロペンタジエン配位子とクロモセンが観察されたが、アンモニアはほとんど生成していなかった。錯体についてNMRによる解析を試みたが、いずれも常磁性錯体であり、帰属は困難であった。そこで、結晶化を行い、2種類の結晶を得て、両者の構造解明に成功した。1つは三核のモノイミドトリヒドリド錯体であり、もともと存在した2つのイミド種のうちの1つが水素化によってアンモニアとして脱離したものと考えられる。もう1つは、その遊離したアンモニアとクロムイミド錯体が反応し、さらに錯体間での不均化反応により五核クロムテトライミドトリヒドリド錯体であった。 遊離したと考えられるアンモニアの捕獲を目的に、ランタン金属Laの共存下で高圧水素による水素化を行ったところ、比較的選択的に三核クロムモノイミドトリヒドリド錯体が得られた。不均化した五核クロム錯体の生成は抑えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、クロムイミド錯体からの水素化による窒素成分の脱離に成功するなど、新たな進展が見られた。遊離したアンモニアと思われる窒素種の同定とさらなる触媒的反応に向けて取り組む予定であり、概ね順調に研究は進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、金属ヒドリド錯体による窒素分子からのアンモニア合成に力を入れるとともに、より付加価値の高い含窒素有機化合物の合成など高難度な反応にも取り組んでいく。また、窒素-炭素結合以外の新たな窒素-E(E = Si, B, Al)結合形成反応にも取り組んでいく。
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Research Products
(8 results)