2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dinitrogen activation and ammonia synthesis by chromium hydride complexes
Project/Area Number |
20K05534
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島 隆則 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (60391976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 窒素分子活性化 / 水素化 / ヒドリド錯体 / 含窒素有機化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度は、クロムヒドリド錯体と様々な不飽和炭化水素および窒素分子との反応を検討した。二核クロムヒドリド錯体を用いてアルキン類との反応を検討したところ、2分子のアルキン同士がカップリングすることを見いだした。従来のカップリング反応では三重結合同士の反応が主であるが、今回末端のアルキル炭素と三重結合がカップリングすることを新たに見いだした。様々なアルキン類や、配位子のCp置換基の異なる二核クロムヒドリド錯体を用いるなどして、反応機構の分子レベルでの解明を行った。また、得られた錯体を水素化したところ、カップリング体の放出とヒドリド錯体の再生を確認した。今後の触媒的なアルキン類カップリング反応への展開が期待できる結果である。アルキンとの反応で得られた錯体に対し、窒素分子を反応させたが反応しなかった。一方で、チタンヒドリド錯体を用いて、アルケンと窒素分子を反応させたところ、アルキルアミンが得られることを見いだした。本研究は、窒素分子を利用した直接的な含窒素有機化合物の合成に繋がる知見である。 研究期間全体を通して、多金属ヒドリド錯体を用いた窒素分子の活性化と、新しい分子変換反応を目指して研究を進めてきた。新たな多核クロムヒドリド錯体を構築し、それらを用いた窒素分子の切断と水素化反応を行った。窒素分子を切断した後に得られる金属-イミド結合は非常に強く、容易に水素とは反応しない。そこで、高圧水素を付加したところ、アンモニアが系中で脱離したものの、その脱離したアンモニアと新しく生成した金属-ヒドリド結合が反応して新たな多核イミドヒドリド錯体を与えることがわかった。また、不飽和炭化水素と窒素分子を利用した直接的な含窒素有機化合物合成にも取り組みはじめ、今後の研究に繋がる重要な知見が得られた。引き続き鋭意研究を進めていきたい。
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Research Products
(12 results)