2020 Fiscal Year Research-status Report
14族および15族典型元素を利用した機能超原子クラスターの開拓
Project/Area Number |
20K05538
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神戸 徹也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00733495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クラスター / デンドリマー / 典型元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)液相超原子合成法の発展 これまでの研究として、ピリジン部位をコアに有する第4世代フェニルアゾメチンデンドリマー(pyDPAG4)を用いることでAl13超原子の合成を達成している(Nature Commun. 2017)。本研究ではこれを発展させガリウムの塩であるGaCl3の精密集積を行った。そして集積させた13原子のガリウムをクラスター化することでハロゲン超原子の合成に成功した。合成したGa13の超原子性は、我々のグループで開発しているクラスターの新しい周期律に従うとハロゲン特性に分類されるものである。実際にAl13と同様のアニオンにおける高い安定性が、Ga13のアニオンにおいても電子顕微鏡観察下で示唆された。このように、超原子のモデル体として価値の高いGa13の合成と評価を達成した(Adv. Mater. 2020)。さらにこうしたGa13クラスターへの異種元素の配合も達成しており、白金との合金化による吸着機能の制御を明らかにした。 2)14族および15族元素の精密集積 これまでにフェニルアゾメチンデンドリマーへの14族元素であるスズや15族元素であるビスマスの集積を達成していた。本研究では1原子のみ異種元素で置換したクラスターの設計と合成に取り組んだ。pyDPAG4を用いることで1原子置換型の精密集積法を開拓した。 3)極微小粒子の磁気特性解明 サブナノサイズの粒子の物性解明として磁気測定を開拓した。特に、超微小酸化鉄粒子の磁気機能が解明できることが分かった。これは微小粒子として生成される超原子の機能解明手法において重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、スズおよびビスマスによる集積およびクラスター合成手法を開拓した。さらに合成したクラスターに対する機能開拓手法も着実に開拓している。そして予備的ではなるが、クラスターの光学および磁気機能も見出している。そのため、これら研究をさらに進めることで新たな超原子の開拓に繋がると期待できる。また異種金属配合手法も開拓しており、サブナノサイズの金属粒子のバリエーション拡大も達成している。
特にビスマスにおいてそのクラスターが極めて大きい量子サイズ効果を発現できることを見出し、ビスマスクラスターによる発光機能の観測にも成功している。以上のことからおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
数個から十数個の金属からなる粒子により超原子機能の発現が期待されてきた。これまでにデンドリマーを鋳型とした合成を開拓してきたが、明確な機能を発現するための重要な要素として、構造の制御が明確化されてきた。しかしながら配位子保護などの既存の構造固定手法では超原子性が失われてしまう可能性が高い。そこで1原子置換型の超原子合成の研究を推し進める予定である。 デンドリマーの階層構造を利用することで望みの原子数だけ異種金属に置き換えて集積することが可能である。この手法を利用することで14族および15族元素のクラスターに1原子分だけ別元素を加えることで新たな超原子の合成に展開する。
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Research Products
(29 results)