2020 Fiscal Year Research-status Report
ラマン分光法を用いたiPS細胞及び分化誘導細胞の非破壊,非侵襲評価法の確立
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20K05556
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石垣 美歌 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (60610871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 成 香川大学, 医学部, 教授 (10325334)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞 / ラマン分光法 / ラマンイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ラマン分光法を用いたiPS細胞、及び分化誘導細胞の非破壊、非侵襲、ラベルフリー評価法の確立を目的とする。 iPS細胞の細胞周期におけるタンパク質、脂質、核酸などの濃度変化やタンパク質2次構造変化等をモニタリングし、iPS細胞の増殖機構に特徴的な分子組成変化の同定を行う。 当該年度では、iPS細胞のエリスロポエチン(EPO)産生細胞への分化誘導過程を分析しするため,まずiPS細胞のラマン測定条件の検討を行った。測定時間、レーザー強度等測定条件を変え、解析に十分なスペクトル精度を担保できる条件の検討を行った。785 nm励起、空間分解能1マイクロメートル、 60倍水浸レンズで測定を行った結果、iPS細胞から取得されたラマンスペクトルには、タンパク質、脂質由来のピークが検出されており、ラマン測定が順調に行えていることを確認した。 次に、14日間の分化誘導過程の中で4ステージの細胞のラマンスペクトルデータ、及びラマンイメージングデータを取得し、分化誘導過程における分子組成変化、分子構造変化を分析した。20マイクロメートル四方から取得されたラマンスペクトルを平均化し、領域における平均的なラマンスペクトルの比較を行った。その結果、EPO産生細胞への誘導が終了した細胞では、iPS細胞では見られなかった670 cm-1付近のピークが顕著に表れており、両者のスペクトルパターンが異なることが明らかとなった。また、場所依存的なスペクトルのばらつきも検出され、主成分分析や部分的最小二乗法などの多変量解析を用いて、それぞれのスペクトル特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、共同研究先の香川大学で実験を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、共同での実験を行うことができなかった。そのため、香川大学でiPS細胞からEPO産生細胞への分化誘導過程で固定細胞を作製し、島根大学でラマン測定を実施するという方法に変更を余儀なくされた。しかし、固定細胞の作製、及びラマン測定は予定通り問題なく実施することができた。研究はおおむね、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き、共同での実験が困難であると予想される。そのため今年度も、固定細胞での評価を実施する方向で調整している。さらに島根大学医学部の協力を得て、iPS細胞のラマン測定を実施することも模索したい。
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Causes of Carryover |
当該年度では、県外や国外への出張が認められず、旅費を使用する計画を変更せざるを得ず、当初の計画から差額が生じた。次年度では、顕微ラマンシステムのメンテナンスや、論文投稿にかかる費用に充てたいと考えている。
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