2020 Fiscal Year Research-status Report
水を固定した固相抽出剤の開発と高水溶性化合物への応用
Project/Area Number |
20K05571
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 博哉 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (40515128)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HILIC / 親水性高分子 / 水和層 / 基材樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、高水溶性化合物の前処理の高精度化を目指し、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)モードを発現する高性能な固相抽出剤の開発を目的とし、研究を進めている。令和二年度の研究では、その高性能化に関する基礎検討として、①HILICモードの発現に必要不可欠な水和層の形成を可能にする親水性高分子を被覆するための基材樹脂の合成条件の最適化と、②その被覆する親水性高分子の種類などに関する検討について主に行ってきた。以下にそれぞれの項目について概説する。 ①親水性高分子の被覆を可能にするために、エポキシ基を有するモノマーであるグリシジルメタクリレートを用い、それと架橋反応し,かつ親水性を示す多官能モノマーを複数選択し,多官能モノマーの種類や細孔形成剤などの量を変化させた基材樹脂をそれぞれ懸濁重合法により合成した。合成した基材樹脂の細孔物性評価,および親水性高分子を被覆した樹脂の捕捉特性評価を行ったところ、HILICモード発現に有用と思われる数種類の基材樹脂の組成を見出した。 ②①の基材樹脂に関する最適化と平行して、基材樹脂に被覆する親水性高分子に関しても数種類選定し、親水性高分子が被覆された樹脂の捕捉特性についても評価を進めた。被覆する親水性高分子の一つとして、両性イオン型の親水性高分子を選択し、それらの被覆条件などについて最適化を進めた。その結果、被覆条件の最適化を行うことによって、捕捉特性の改善される被覆条件を見いだした。そのほかの種類の親水性高分子についても反応条件などの最適化を進め、一定の成果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和二年度は、主に親水性高分子を被覆するための基材樹脂の選定および被覆する親水性高分子に関して検討を行ってきた。基材樹脂の選定については、架橋剤モノマー種の選定を、また捕捉特性などに大きな影響を与える細孔物性の最適化については、その細孔形成に重要な影響を与える細孔形成剤量などの最適化をそれぞれ行い、捕捉特性の高性能化が期待できる基材樹脂を数種類見いだしている。さらに基材樹脂に被覆する親水性高分子については、その親水性高分子の種類、および被覆するための反応条件などの最適化を進め、捕捉特性の改善を達成している。以上のことより、全体として本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度において、基材樹脂の選定および被覆する親水性高分子について最適化を進め、一定の成果を得ている。今後は、本年度の研究により得られた親水性高分子および基材樹脂に関する知見を元にして、親水性高分子の被覆反応条件の詳細な最適化などを行う。さらにこれまでの検討により高い水和層形成能を有すると推定された親水性高分子については、様々な官能基の修飾などを施すことによって、さらなる水和層形成能の増強を図る。 それに加えて、得られた知見をベースにとして、数種類のHILICモードを発現すると判断された各固相抽出剤に関して、HILICモードの適用範囲を見極めるために、広範囲な高水溶性化合物を用いた捕捉特性評価を行う。さらにそれらの評価に加えて、アプリケーション展開を目指した固相抽出条件などの検討を進める予定である。
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