2020 Fiscal Year Research-status Report
電場によるCO2固体吸収剤中の拡散速度向上技術の開発
Project/Area Number |
20K05579
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小玉 聡 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90589417)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CO2分離回収 / 固体吸収剤 / アミン / 電場 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、省エネルギーかつ耐久性の高いCO2分離回収技術として研究がすすめられているCO2固体吸収剤のCO2吸収・放散速度を静電場を用いて加速させる技術を開発している。本年度は、平膜状の固体吸収剤の表面近傍に電極を配置して高電圧を印加することで電場を発生させるセルを作成し、GCとインラインサンプラーによるガス定量分析装置を構築した。 PTFEメンブレンフィルタにアミンを含浸させたものを用いて電場の有無による吸収速度の変化を測定した結果、電場がある場合では吸収速度が有意に向上した。その一方で、吸収量の積算値は電場の有無で大きな違いはなかった。この結果から、電場の影響は固体吸収剤内部よりもその表面近傍での効果が大きいと推測される。 電場の向きと細孔構造の影響を調べるため、メンブレンフィルタに替えて規則的な細孔構造を持つ陽極酸化アルミナのような材料を担体として用いることを考えた。アルミ板を処理して細孔構造を作成することを試みたものの目的の細孔構造を作成することができなかったため、本学教員から陽極酸化アルミナ製のフィルターを提供いただき吸収試験を行った。その結果、電場がある場合では実験開始直後のCO2吸収速度が大きく増加し、CO2の総吸収量も電場がない場合と比較して増加した。 しかし、現在のガスサンプリング方法では実験開始直後のCO2吸収量の誤差が総吸収量に与える影響が大きいことがわかった。今後はガスを全量サンプリングした後に分析を行うなど、より精度の高い分析方法を構築するために装置の改良を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平膜状のCO2固体吸収剤に電場を印加することのできる装置とガスの定量分析を行える装置を構築した。また、担体としてPTFEメンブレンフィルターと陽極酸化アルミナ(アノディスク)を用いた実験を行った。実験の結果、陽極酸化アルミナを用いた場合では電場の効果により吸収速度・量共に向上したが、実験開始直後におけるCO2吸収量がCO2総吸収量の計算に与える影響が大きいことがわかった。 このことから当初購入を予定していた一般的なガスサンプラーでは正確な分析が行えないと予想されるため、ガスのサンプリング・分析方法を再検討し、より正確な吸収性能の評価を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目はガスサンプリング方法を改良し、正確なCO2吸収速度・総吸収量の測定を行える装置を構築する。また、陽極酸化アルミナに加え、その他の細孔構造を持つ材料についても入手可能であれば検討を行う。アミンの種類についても、現在用いているものと分子量が異なるものを用い、長時間の吸収・放散特性を評価する。 現在はセルへは窒素とCO2しか導入していないが、実際の燃焼排ガスは水蒸気を含み、既存のCO2吸着剤には水蒸気の存在により性能が低下するものがある。今回検討している固体吸収剤は水蒸気の影響は受けにくいと予想しているが、これを検証するため、2年度目以降にセルに水蒸気を導入できるように装置を改良し、吸収・放散過程で水蒸気が与える影響を評価する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症対策に伴い教員及び学生の出校が制限され、上半期は実験をほぼ行えなかったことに加え、研究の進捗に伴い、一般的なガスサンプラーでは正確に分析できない恐れがあることが示唆されたため、当初予定していた装置(ガスサンプラー)の購入を取りやめた。このため、装置の選定を含め分析方法を再検討する。 また、申請時に予定していた学会参加や情報収集のための出張も行えなかった。本年度も出校が制限される可能性はあるが、予めこれを見越して予算を執行する。
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