2022 Fiscal Year Research-status Report
第3世代バイオ素材で創出する次世代高分子材料の開発のための重合技術の構築
Project/Area Number |
20K05580
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
戸田 智之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (60709335)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 藻類産生炭化水素 / ボトリオコッカス / 重合 / ジエン / ペンタジエン / ブタジエン |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化対策として大気中の二酸化炭素削減の技術開発が推進されており、石油枯渇に関する危機感から、カーボンニュートラルな再生可能エネルギーの研究が急ピッチで行われている。上述の社会的要請に対し、国内外の多くの研究者が藻類から得られる第3世代バイオ素材の利用に着目した研究を始めている。藻類はパームと比べても単位面積当たりのオイル(炭化水素化合物)生産性が少なくとも数倍以上と効率面で優れており、加えて他の植物よりも二酸化炭素を固定する能力が高い。しかし、藻類由来第3世代バイオ素材を活用した材料開発の例は少ない。本研究では藻類の中でも炭化水素化合物を産生するボツリオコッカス・ブラウニーに注目し、これが産生する炭化水素(ボトリオコッセン)による高分子合成を進める。 ボツリオコッカス・ブラウニーが産生する炭化水素化合物(ボトリオコッセン)には複数の種類があるが、それらの中には嵩高い1置換オレフィンを産生する株、ならびに1置換共役ジエンを産生する株が知られている。昨年度はこれらのモデルモノマーとして、1,3-ペンタジエンに着目し、共役ジエン類の重合に用いられる均一系ネオジム触媒による配位重合による重合挙動の調査を進めた。さらに1,3-ペンタジエンとブタジエンとの共重合についても検討し、1-置換ブタジエンの配位重合に関する知見を得た。本年度は、より実際の藻類産生モノマーに近い構造のモノマーの合成に着手した。 実際にはペンタジエンの1位に置換しているメチル基をより長鎖のアルキル基とすることで、その重合性の変化や得られるポリマーの物性の変化について調査することを目的として、2種類のモデルモノマーを合成を達成し、各種NMRスペクトルによって構造の同定をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Botryococcus burauniiのrace-Aには、(3E/Z,18E/Z)-heptacosa-1,3,18-trieneが知られている。すでに前年度までの検討で、1位にアルキル置換基を有するブタジエンとしてペンタジエンの重合挙動を明らかにしており、本年度はより藻類産生モノマーに近い構造である(3E/Z)-henicosa-1,3-dieneならびに(3E/Z,12Z)-henicosa-1,3,12-trieneについて、トリアルキルリンイリドを用いるWittig反応によって合成を達成し、各種NMRスペクトルによって構造の同定をした。 以上のように、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度の検討においてに1,3-ペンタジエンをモデルモノマーとして、ネオジム触媒による重合性について明らかとした。さらに汎用モノマーとしてブタジエンを選択し、これとの共重合性についての知見を明らかにている。今後は本年に合成した長鎖アルキル基を有するモデルモノマーを用いて高分子材料の開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく予定である。
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Research Products
(16 results)