2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of sulfur sustainable society opened up by atmospheric non-equilibrium plasma technology
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20K05581
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大坂 侑吾 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (70586297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゼロエミッションフィルター / 複合金属酸化物 / 酸化還元反応促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
排ガス中に存在する硫黄酸化物ならびに窒素酸化物を金属酸化物に吸収させることで排ガスのゼロエミッション化を達成させる。また、硫黄酸化物ならびに窒素酸化物を吸収させ硫酸塩ならびに硝酸塩に反応させた金属酸化物を高温で脱硫黄、脱窒素化させることで、材料の繰り返し利用、硫黄分の再資源化を達成させる。上記反応プロセスを用いることで、本プロセスは排ガスのゼロエミッション化と硫黄の再資源化による硫黄循環社会構築の礎となる。本年度は、硫黄酸化物、窒素酸化物の金属酸化物への吸収ならびに、硫酸塩、硝酸塩の高温還元を司る金属酸化物の、酸化還元反応促進を目指して、金属酸化物の複合塩化を実施した。ターゲットとなる閾値温度(酸化反応と還元反応を隔てる平衡温度)を平均排ガス温度400℃と設定し、本温度領域付近で酸化還元平衡をしめす酸化マンガンをベースとして、酸化反応促進のためストロンチウムを、構造安定化ならびに酸素貯蔵能を有するセリウムを副材料として、複合塩を共沈法により合成し、諸処の実験条件(中和剤滴下速度、混合割合、焼成温度)が複合金属酸化物の酸化還元反応に与える影響を実験的に評価した。単体の酸化マンガンでは、還元反応は速やかに進行するが、酸化反応が還元反応に比して遅く、硫黄酸化物や窒素酸化物の吸収性能向上には酸化反応促進が有効であることが予備検討より判明している。本結果より、構造安定化と高温条件で酸素貯蔵能を有するセリウムを約20wt%混合させたMnCe複合金属酸化物が本設定温度域(酸化350℃、還元550℃)において、高い反応特性を示すことを明らかにした。また繰り返し反応特性も優れており、安定した材料が得られた。本結果は、今後の大気圧非平衡プラズマを重畳させるためのファイバー化への指針が示されたとともに、コンパクトなゼロエミッションフィルターの設計へつながる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、コンパクトなゼロエミッションフィルター構築のための材料開発、大気圧非平衡プラズマ重畳法の検討より構成されている。従来開発してきた高活性な二酸化マンガンを複合塩化させることで、反応性の向上、酸化還元温度の制御、構造安定性の向上が達成された。本材料をもとに、次年度以降の大気圧非平衡プラズマ重畳プロセスにつなげることが可能となった。本理由により、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
大気圧非平衡プラズマを重畳させたゼロエミッションフィルターを構築するための反応器設計指針の獲得を行う。具体的には、バリア放電電極近傍に金属酸化物を担持させた反応器を構築し、反応特性を実験的に評価する。また、生成した大気圧非平衡プラズマの本反応場へ寄与を分光法を用いて定性的に評価し、本反応場の工学的応用のための学理構築を目指す。
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