2020 Fiscal Year Research-status Report
溶液移動が可能な新規分離型電解セルを用いた含イオウ化合物の低環境負荷型両極合成
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20K05588
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松本 浩一 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60581741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 秀峰 山形大学, 理学部, 講師 (00754946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 両極電解合成 / 分離型電解セル / 溶液移動 / ハロゲン化 / 置換反応 / 有機活性種 / 炭素ー炭素結合形成 / アセトフェノン |
Outline of Annual Research Achievements |
① カルボニル化合物のα位へのハロゲン化(陽極)と、硫黄アニオンなどの有機アニオン種(陰極)を、分離型電解セルでそれぞれ発生・蓄積し、通電終了後に溶液混合することで、生成物に硫黄部位などの導入を目指した反応開発に取り組んだ。アセトフェノンをモデル基質とした臭素化では、様々な条件検討の結果、1臭素化体と2臭素化体との混合物になり、その比率制御が難しい点、陽極臭素化の収率自体も低い点などが問題点として明らかになった。文献調査の結果、Hilt, G. et al. Org. Lett., 2020, 22, 5968.の文献を参考にすると、モノヨウ素化体で反応が止まる可能性が示唆された。そこで、エノールシリルエーテルを基質とした陽極モノヨウ素化を検討したところ、中程度の収率で、アセトフェノンのα位にヨウ素が1個導入されることを見出した。現在、徹底的な条件検討を行っており、より高い収率でモノヨウ素体が得られる条件を探している所である。 ② 並行して、両極合成を用いたイミニウムカチオンとアリルシランのin-situ合成と溶液移動による炭素-炭素結合形成の検討を行っている。電解フロー系では報告例はあるが(Yoshida, J. et al. QSAR Comb. Sci. 2005, 24, 728. )、バッチタイプでは初めての試みとなる。陽極のみ、陰極のみのそれぞれの反応の検討を行いつつ、目的とする溶液移動による炭素-炭素結合形成を試みたところ、低い収率ながら溶液移動により炭素-炭素結合形成した化合物の存在を確認できている段階まで到達した。 ③ その他として、溶液移動による含硫黄化合物の電解合成や、いくつかの反応系の開発にも成功しており、論文掲載済み、あるいは投稿予定のものがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定通りに進行しており、R3年度では、当該反応の収率向上と適用範囲の検討などを引き続き検討したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①の反応に関しては、モノヨウ素化体の反応の停止に際して、水を加えるかチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えるかで、生成物が得られるかどうかが変わってくることが分かっている。この現象を詳細に調査したい。また並行して、モノヨウ素化体の収率向上、エノールシリルエーテルの代わりに、アセトフェノンでも同様の反応が進行するかどうか?などの検討を行う。そして両極合成への展開を予定している。②の反応に関しては、引き続き条件検討を行い、バッチ型での溶液移動型両極合成について、その収率向上を目指す。
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Causes of Carryover |
研究費の有効利用を鑑み、見積書の相見積取得などを積極的に行い、より安価な代理店から購入するように心がけたため、差額が生じた。この差額は、R3年度に必要な試薬として執行する予定である。
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