2021 Fiscal Year Research-status Report
環境調和型溶媒がアミンの酸化劣化に及ぼす反応場効果の検証
Project/Area Number |
20K05595
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 秀尚 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 准教授 (60446408)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | モノエタノールアミン / 酸化劣化 / 一重項酸素 / 互変異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、研究代表者が二酸化炭素-アミンの反応系に対して構築した量子化学計算モデルをアミンの酸化劣化反応に拡張し、二酸化炭素回収用アミン溶液の溶媒がアミンの酸化反応に及ぼす反応場効果を検証する。アミン溶液を用いた二酸化炭素回収は、産業技術や地球温暖化対策技術として、既に実用段階にある一方、オペレーションに伴うアミンの酸化劣化は、大きな課題の一つである。本課題の目的は、アミン溶液におけるアミンの酸化劣化の反応機構と反応場効果を理解することにある。これまでに、ベンチマークアミンとして、モノエタノールアミン(MEA)を選定し、酸化劣化の初期過程の反応解析を実施した。反応解析は、溶媒和効果を連続誘電体モデル(SMD法)で考慮し、密度汎関数法(B3LYP/cc PVTZ)による構造最適化計算によって実施した。その結果、MEAと一重項酸素の反応から出発し、脱水反応によって、エナミン、イミン、ケトン、エノールが生成する可能性が示唆された。さらに、それらの反応機構において、水分子が露わに遷移状態を安定化していることも確かめることができた。また、SMD法で溶媒の種類に依存した溶媒和の効果を検証したところ、エチレングリコールと水を比べた場合では、各反応経路のエネルギーダイアグラムに大差は見られなかった。ただし、SMD法を用いた構造最適化では遷移状態が見つからなかった経路もあった。今後、反応経路を特定するために、計算レベルの精査が必要である。その上で、鍵となる酸化劣化過程を特定し、溶媒効果、置換基効果の検証を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は順調に課題検討を進めたが、昨年度(コロナ禍による)の遅れが残っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画の内容に沿って、検討を進める。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額の大半は前年度未使用分である。次年度は、今年度よりもコストが高い高精度計算を計画しており、そのための計算機使用等に多くの予算を充当する予定である。
|
Research Products
(10 results)