2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K05598
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鳴海 敦 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (60443975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環拡大リビングラジカル重合 / ジチオベンゾエート誘導体 / 可逆的付加開裂連鎖移動 (RAFT) 重合 / 閉環クリック反応 / 環状ポリマー / モルフォロジー制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に従い、環状ジチオベンゾエート誘導体の合成を進めた。トリメチルシリル基 (TMS基) で保護したフェニルアセチレン誘導体をGrignard試薬に変換し、二硫化炭素と反応させた。続いて、酸化反応を実施し、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィド誘導体を得た。生成物と2,4-アゾビス(4-シアノバレリン酸)との反応を行い、カルボン酸誘導体を得た。TMS 基の脱保護を行うため、テトラブチルアンモニウムフルオリド (TBAF) による処理を行った。ここで、ジチオベンゾエート基の開裂が併発してしまうことがわかった。しかし、開裂を伴わずにTMS基のみを脱保護する手法を見出した。次に、テトラエチレングリコール誘導体との縮合反応に進み、分子内にアジド基とエチニル基を有するジチオベンゾエート誘導体を得た。生成物の、Cu(I)触媒によるアジドとアルキンのクリック反応 (CuAAC) による分子内閉環反応を進めた。収率に課題が残るものの、目的物である環状ジチオベンゾエート誘導体を得るに至った。 新規環状ジチオベンゾエート誘導体を連鎖移動剤とする可逆的付加開裂連鎖移動 (RAFT) 重合を実施した。重合は、モノマーにメチルメタクリレート (MMA)、開始剤にアゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を用いて、70℃で行った。環拡大重合により環状ポリマーが生成し、さらに環融合反応が併発し、結果的に多量体化したポリマーが生成することが支持される結果が得られている。 研究課題を遂行する上で必須の化合物である環状ジチオベンゾエート誘導体 (環状RAFT剤) の合成を達成したことは大きな成果といえる。また、RAFT重合を実施し、環状モルフォロジーの導入の効果が発現していることが示された。この点は有意義な成果といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従い、有機化合物の合成を進めた。途中で、塩基性条件下においてジチオベンゾエート基が開裂するという問題が生じたが、文献調査や情報収集により解決策を見出すに至った。また重合反応にも着手でき、研究は進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規環状ジチオベンゾエート誘導体を連鎖移動剤とするRAFT重合を、官能基を有するモノマーに適応していく。生成ポリマーをポリマーブラシに変換する合成実験を進める。ポリマーブラシのAFM観察により、RAFT重合技術への環状モルフォロジーの導入の効果を示す。最終的に、PET-RAFTなどの先端RAFT重合との融合実験を実施し、その効果を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス関連の影響でキャンパス閉鎖等もあり、必要消耗品の購入時期が先延ばしになった。R3年度に必要な消耗品を順次購入させていただく予定である。
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