2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05598
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鳴海 敦 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (60443975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環状ポリマー / 環拡大重合 / 可逆的付加開裂連鎖移動重合 / PET-RAFT / モルフォロジー制御 / 原子間力顕微鏡 (AFM) |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、環状ジチオベンゾエート誘導体 (化合物1) の合成を実施した。また、化合物1を連鎖移動剤 (CTA) とする可逆的付加開裂連鎖移動 (RAFT) 重合を実施した。具体的には、メチルメタクリレート (MMA) をモノマー、化合物1をCTA、アゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を開始剤とする重合を70℃で行った。すなわち、一般的なRAFT重合への環状モルフォロジーの導入について検討を行った。R3年度は新たに、先端RAFT重合技術であるphoto-induced electron/energy transfer-RAFT (PET-RAFT) の活用に着手した。具体的には、MMAをモノマー、化合物1をCTA、フェオフォルバイドをフォトレドックス触媒とする重合を、青色LEDライト (λ = 420 nm) の照射下、室温で行った。生成物のSEC測定より、以上のRAFT重合およびPET-RAFT重合いずれの系においても、環拡大重合により環状ポリマーが生成し、さらに環融合反応が併発し、結果的に多量体化したポリマーが生成することが支持された。さらに、生成物の原子間力顕微鏡 (AFM) 観察を試みた。生成物をブラシ化せずにもモルフォロジーを観察できる可能性があり、現在実験を進めている。 当初の研究実施計画に従い、R3年度はブラシ化についても検討を進めた。具体的には、MMAをモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート (HEMA) をコモノマー、化合物1をCTA、AIBNを開始剤とするRAFT共重合を実施した。続いて重合生成物をマクロ開始剤とするε-カプロラクトン (CL) の開環重合を触媒にジフェニルリン酸 (DPP) を用いて行った。1H-NMRスペクトルおよびSEC測定より、生成物はポリ(ε-カプロラクトン) を側鎖とするポリマーブラシであると同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PET-RAFT重合への環状モルフォロジーの導入について、鍵化合物である環状ジチオベンゾエート誘導体 (化合物1) の合成だけでなく、フォトレドックス触媒として使用するフェオフォルバイドの研究室での合成や、青色LEDライト (λ = 420 nm) を用いた重合系のセットアップも含め、実施に辿り着いたことは大きな成果といえる。ブラシ化についてもノウハウが得られており、研究は進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物1をCTAとするMMAのPET-RAFT重合および生成物のAFM観察を主軸として研究を進める。必要となる比較対照の重合系 (例えばPET-RAFT重合ではなく通常のRAFT重合の系や、環状モルフォロジーを導入していないPET-RAFT重合の系) を含め、議論するために十分なデータを収集する。MMAだけでなく他のビニルモノマーの重合にも展開し、新奇な高機能素材の創出に繋がる重合技術の開発を進める。
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Causes of Carryover |
必要消耗品の購入時期が先延ばしになりました。R4年度に必要な物品・消耗品を順次購入させていただく予定です。
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