2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05612
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 孝 北見工業大学, 工学部, 特任教授 (40166955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 大輔 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (10423485)
宮崎 健輔 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50636610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長鎖アルキル鎖 / オリゴ糖鎖 / クリック反応 / リポソーム / 相互作用 / SPR |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は無水糖モノマーの開環重合法によって得られる立体規則性糖鎖を硫酸化した硫酸化糖鎖が高い抗HIV活性を示すことを見出して以来、これまでに硫酸化糖鎖の抗ウイルス活性メカニズムを解明する研究を行っている。硫酸化糖鎖の抗HIV活性は硫酸基に由来する(-)電荷とHIV表皮タンパク質gp120中の塩基性アミノ酸に由来する(+)電荷との静電的相互作用により、HIVがヒト細胞などに感染することを抑制すると予測した。さらにgp120中の3領域のオリゴペプチドを合成し、硫酸化糖鎖との相互作用をSPRやDLSを用いて定量的に調べ、gp120のC末端およびV3領域と強く相互作用することを明らかにした。 令和2年度には硫酸化アルキルオリゴ糖鎖還を新規合成し、リボソーム(直径100 nm)との相互作用をSPR を用いて測定した。その結果、アルキルオリゴ糖鎖中のアルキル鎖はリポソームと相互作用し、アルキル鎖長が長いほど相互作用も強くなることが分かった。すなわち低毒性の硫酸化アルキルオリゴ糖鎖を得るためには疎水性の長鎖アルキル鎖の長さと親水性のマルトオリゴ糖鎖とのバランスが重要であるとの結論に達した。 令和3年度ではアルキル鎖長と細胞毒性の関係を調べ、アルキルオリゴ糖鎖ではアルキル鎖がC6からC18に長くなると、結合速度定数(ka)は3.11×10*4~1.2×10*5 1/Mへと大きくなり、解離速度定数(kd)は1.47×10*-6~6.08×10*-12 Mへと小さくなった。硫酸化アルキル鎖でもka=5.30×10*5~1.00×10*7 1/M、kd=3.33×10*-1~1.39×10*-4 Mとなり同じ傾向であった。すなわち、長鎖アルキル鎖長が長いと相互作用も強くなることを定量的に示し、アルキルオリゴ糖鎖の細胞毒性は長鎖アルキル鎖が細胞の脂質二重膜に作用し発現することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度では、抗HIV活性を持つ硫酸化アルキルオリゴ糖鎖は、アルキル鎖長に依存して細胞毒性が増加することを明らかにした。アルキル鎖長の異なる硫酸化アルキルオリゴ糖鎖を新規合成しリポソームとの相互作用を表面プラズモン共鳴(SPR)装置で測定した。リポソームは脂質二重膜のモデルとした。アルキル鎖長と細胞毒性との関係および細胞毒性発現メカニズムについて定量的な解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度以降ではHIV gp120中の長いオリゴベプチドおよびデング熱ウイルスなどの表皮タンパク質中のオリゴペプチドを合成し硫酸化糖鎖との相互作用を調べることにより、硫融化糖鎖および硫酸化アルキルオリゴ糖鎖の抗ウイルス性、細胞毒性などの発現メカニズム解明について研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナによる影響で学会のリモート開催、消耗品発注の抑制などにより予定より支出が減少した。消耗費、依頼測定など助成金の計画的使用に努める。
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