Adhesive hydrogel systems growing up via living radical polymerizations.

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K05613
• Research Institution: Utsunomiya University
• Principal Investigator: 為末 真吾 宇都宮大学, 工学部, 助教 (10611767)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: ゲル / 接着 / リビングラジカル重合

Outline of Annual Research Achievements

不対電子を持つラジカルを利用した高分子合成手法であるラジカル重合において、リビングラジカル重合は、反応を熱や光などを用いて制御することができ、分子の長さや大きさの揃った高分子を得ることができる高分子合成手法である。本研究では、このリビングラジカル重合を利用して、成長することのできるヒドロゲル接着システムを作製することを目的として研究をおこなっている。リビングラジカル重合を行う手法は様々あるが、本研究では、可逆的付加開裂連鎖移動重合（RAFT重合）を用いて研究をおこなっている。これはジチオカルバマートやトリチオカルバマートなどの可逆的にラジカルと結合・開裂を可逆的に行うことのできる構造を持った分子を用いてリビングラジカル重合を行う手法である。また、本年度は目的とするヒドロゲル接着部を成長させるための前実験として、ジメチルスルホキシド（DMSO）を溶媒として高分子の網目構造内に保持した有機ゲルの接着部をリビングラジカル重合を利用して成長させた。DMSOは水と混和できるため、このゲル接着体を水に浸漬させることで、溶媒を交換し、ヒドロゲルに変換した。ここで成長させるために用いた材料として熱刺激応答性を持つ高分子を形成するN-イソプロピルアクリルアミド（NIPAM）を選択した。NIPAMとの反応時間や反応条件によって、成長後の接着力を制御可能であることを確認することができた。さらには、熱に応じて、接着力を増大する性質を、接着部の成長によって新たに獲得したことを確認することができた。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに有機溶媒を含むゲルを接着し、接着体をリビングラジカル重合の一種であるRAFT重合を用いることで成長させることに成功した。さらに成長後に溶媒を交換することで接着体をヒドロゲル接着体に変換することに成功した。このヒドロゲル接着体における接着部は、熱に対する応答性を示すことがわかった。本年度は、研究課題であるRAFT重合で成長することのできるヒドロゲルの前実験として行ってきた、有機ゲルの接着と成長に成功した。さらにヒドロゲルに変換することまで達成することができた。また、学術論文として成果をまとめていることから、順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

これまでに有機ゲル接着部のRAFT重合を利用した成長に成功し、ヒドロゲルに変換することで接着体の機能発現を確認することができた。最終年度ではヒドロゲルの接着体の作製と評価を行うとともに、有機ゲルの接着体作製の研究成果の論文などとしての公表を行いたいと考えている。

Causes of Carryover

測定に用いる実験器具や試薬の無駄な消費を抑えることに成功したため次年度使用額が生じた。しかし、翌年度では依頼測定や論文投稿費用などの費用が見込まれるため有効的に次年度使用額を利用できると考えている。