2020 Fiscal Year Research-status Report
Room-temperature stabilization of bicontinuous cubic liquid crystals
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20K05619
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
沓水 祥一 岐阜大学, 工学部, 教授 (80214964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 洋平 岐阜大学, 工学部, 准教授 (10635692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 双連続キュービック相 / 液晶 / 分子デザイン / メゾスコピック系 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)低分子室温Cub_bi液晶相の実現の試み 末端鎖にシロキサン鎖を付与し、分子中央の水素結合部位の両側にベンゼン環とナフタレン環を1個ずつ配することで分子コア部に非中心対称性を導入した化合物を合成した。溶液から得た試料は結晶性であり、その結晶は350K(77℃)付近で融解し双連続キュービック(Cub_bi)液晶相を形成した。高温の液体状態から冷却すると、その途中で形成したCub_bi相が室温まで保持された。室温のこの状態は、熱力学的には準安定状態であるが、室温25℃において100日以上の安定性を示した。このことは、研究方針が合理的であることを示す。これらの過程を詳細に解析すると、冷却過程の途中で分子コアの積層様式に変化が生じること、その状態は速度論的な安定化であるため、室温での保持にともない、さらに変化していることがわかった。 (2)高分子室温Cub_bi液晶の実現の試み、 市販のポリシロキサンの側鎖に炭素数6のメチレン鎖を介して、安息香酸を結合させ、そのカルボン酸-ジピリジル水素結合錯体を試作した。側鎖に安息香酸を結合させた前駆体高分子はいったん析出させると通常の溶媒には不溶であったため、ジピリジル錯体は安息香酸を結合させる反応の溶液にビピリジルを反応させることで得た。予想に反し、このポリシロキサンの安息香酸-ジピリジル水素結合錯体は、層状のスメクチック相のみを示した。低分子シロキサン系安息香酸-ジピリジル水素結合錯体は335-345Kの温度範囲でCub_bi相を形成した。そこで、この低分子錯体と高分子錯体の混合試料を作成したところ、低分子錯体より広い温度範囲(325-360K)で安定なCub_bi相を示した。 高分子化がCub_bi相の安定化に有用との一例を示せた。高分子の重合度や側鎖密度などの最適化が次の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、職員の自宅待機推奨期間、学生の登校禁止期間などもあって、研究がやりにくい1年ではあったが、その割には順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況を踏まえ、 (1)については、当初の計画通り、さまざまな化学構造の化合物を合成し、その準安定Cub_bi相の詳細な検討を行うことで、室温「安定化」の最適な分子骨格の探索とその裏付けとなる熱力学的な理解を進める。 (2)については、Cub_bi相形成の室温安定化を目指すべく、シロキサン鎖の重合度、側鎖密度、スペーサー長などに関するチューニングを進める。
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