2020 Fiscal Year Research-status Report
Organic - inorganic hybrid membranes for high-performance and high-efficient gas separation
Project/Area Number |
20K05620
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 智幸 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (90422807)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ポリベンゾオキサゾール / シリカ / 有機-無機ハイブリッド / ゾル-ゲル / 気体分離膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに実施した予備研究では、製膜条件等を最適化し、熱再配列ポリベンゾオキサゾール(TR-PBO)の合成および自立膜の作製に成功した。また、得られたTR-PBO膜について気体透過性を評価し、高い気体透過性の発現を確認した。 令和2年度は、新規なTR-PBO-シリカハイブリッド膜を作製し、その基礎物性および気体透過・分離性を評価した。テトラエトキシシラン(TEOS)をシリカの原料に用い、ゾル-ゲル法を適用して有機-無機ハイブリッド化を試みた結果、新規なTR-PBO-シリカハイブリッド自立膜の作製に成功した。作製したハイブリッド膜について、本助成事業にて導入したFT/IR-4600(日本分光(株)製)を用いてFT-IR測定を行った結果、PBOへの転化およびゾル-ゲル反応の進行が確認された。またハイブリッド膜の熱特性を評価した結果、いずれのサンプルも優れた耐熱性を有するとともに、所定量のシリカを含有していることが分かった。作製したTR-PBO-シリカハイブリッド膜について気体透過・分離性(主として二酸化炭素/メタン分離性に着目)を評価した結果、既存の高分子系気体分離膜の二酸化炭素/メタン分離における上限境界線を上回る優れた二酸化炭素/メタン分離性を有し、その特性はシリカ含有量の増加とともに向上することが分かった。このことから、TR-PBO-シリカハイブリッド膜では、ポリマー/シリカ界面領域に、二酸化炭素/メタン分離に有効なサイズ・分布を有する新たな自由体積空孔が形成されることが示唆された。 令和2年度の研究成果について、査読付き学術論文(1報)、学会(国内)(2件)での発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【(i) TR-PBO系ハイブリッド膜の作製と諸物性評価】・・・テトラエトキシシラン(TEOS)をシリカの原料に用いたゾル-ゲル法により、新規なTR-PBO-シリカハイブリッド自立膜の作製に成功した。作製したハイブリッド膜について、本助成事業にて導入したFT/IR-4600(日本分光(株)製)を用いてFT-IR測定を行った結果、PBOへの転化およびゾル-ゲル反応の進行が確認された。またハイブリッド膜の熱特性を評価した結果、優れた耐熱性を有するとともに、所定量のシリカを含有していることが分かった。
【(ii) TR-PBO系ハイブリッド膜の気体透過・分離メカニズムの解明】・・・作製したTR-PBO-シリカハイブリッド膜について気体透過・分離性を評価した結果、既存の高分子系気体分離膜の二酸化炭素/メタン分離における上限境界線を上回る優れた二酸化炭素/メタン分離性を有し、その特性はシリカ含有量の増加とともに向上することが分かった。また、TR-PBOベースポリマー膜について、熱再配列プロセス温度を現行の400℃から450℃に変更した結果、気体透過性および二酸化炭素/メタン分離性の更なる向上が確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
【(i) TR-PBO系ハイブリッド膜の作製と諸物性評価】・・・令和2年度に引き続き、当該サブテーマを実施する。 【(ii) TR-PBO系ハイブリッド膜の気体透過・分離メカニズムの解明】・・・令和2年度の研究において、TR-PBOベースポリマー膜の気体透過・分離性の熱再配列プロセス温度依存性が確認された。この結果を踏まえ、令和3年度以降は、TR-PBO-シリカハイブリッド膜を種々の熱再配列プロセス温度にて作製し、気体透過・分離性に与える影響を検討する。あわせて、TR-PBO-シリカハイブリッド膜の微細構造を電子顕微鏡(SEM、TEM)観察、小角・広角X線回折法等にて評価し、TR-PBO-シリカハイブリッド膜の気体透過・分離メカニズムを解明する。 【(iii) TR-PBO系ハイブリッド膜の高性能・高機能化】・・・共重合、アルコキシシラン種の変更(あるいは併用)等の手法により、二酸化炭素/メタン分離性の向上を図る。加えて、二酸化炭素とその他気体との組み合わせにおける気体透過・分離性の向上・制御 に主眼を置いた、TR-PBO系ハイブリッド気体分離膜の高性能・高機能化を図る。
なお、本研究の研究成果は随時、申請者の所属学会等にて学会発表を行うとともに、学術論文誌での論文発表を行う。また、新聞、雑誌等の媒体にて、より幅広く社会・国民に向けて発信する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大により、参加を予定していた学会がオンライン開催に切り替わり、当初計上の旅費の概算額を下回ったため。令和3年度以降、旅費として使用予定。
|