2022 Fiscal Year Annual Research Report
高分子表面の皺(しわ)を利用して針状結晶を整列させる方法の開発
Project/Area Number |
20K05630
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡邊 真志 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (90301209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 皺 / シリコーン / 針状結晶 / 座屈不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
UVオゾン処理で酸化させたシリコーン表面を極性溶媒で膨潤させると、座屈不安定性により皺が生成する。本研究ではこの皺を利用して有機半導体の針状結晶を並べることを目的としている。有機半導体としては、本研究では9,10-ジブロモアントラセンを用いた。昨年度までにある程度、目的が達成されたので、本年度はより均等に並べることを目指し、実験条件の細かい検討を行った。まず、皺の均一性を良くするために、本年度はサンプルの大きさ、形、について検討した。平行な皺を得るためには、サンプルの幅は300μm程度まで狭める必要があることを明らかにした。また、サンプルの長さについても、ある程度短くないと、サンプルの中央部で皺が乱れることから、2~3 mm 程度が最適であることも分かった。次に、針状結晶を一つ一つの皺の中に入れる方法について、再現性をより高めるべく、実験条件の詳細な検討を行った。一番大きな問題は、皺の一つ一つに入っている有機半導体溶液の液滴の大きさが小さいことに起因して、その液滴の中で結晶核が発生する確率が低くなり、結晶化することなく非晶質のまま析出してしまうことであった。そこで、外部から結晶核を導入する方法を検討した。その結果、濾紙に極々少量、有機半導体の溶液を浸み込ませておき、これを皺の溶液に押し当てるという方法で、再現性良く結晶核を導入し、そこから針状結晶を成長させることが出来るようになった。再現性について自信の持てる実験条件が確立できたので、現在、論文を投稿中である。
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