2021 Fiscal Year Research-status Report
Structural analysis of polymer gel using partial deuteration contrast variation method
Project/Area Number |
20K05635
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
高田 慎一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (70435600)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小角中性子散乱 / 高分子ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子ゲルの「主鎖」及び「側鎖」の各部位が構築する構造を明らかにし、高分子ゲルの構造不均一性の発現メカニズム、体積相転移時の各部位の役割、 さらに水分子と側鎖の相互作用などを解明することが目的である。アクリルアミドゲル(AAm-gel)は低温で、構造不均一性が増大し、-17℃で密度ゆらぎが現象する臨界現象が報告されている。低温では、高分子ゲル中の水が凍る影響も考えられ、AAm-gelの高分子鎖と網目中の水分子の構造を評価するため、小角中性子散乱測定を用いて、AAm溶液(Sol)、架橋密度の異なるAAm-gel(Gel1,Gel2(架橋密度:Gel1の3倍))及び比較のため重水溶媒の低温度測定(-20<T< 20℃)を実施した。その結果、小角領域の強度は、室温付近から0℃までは、溶媒、Sol、Gel1、Gel2の順で強度上昇が見られるが、低温(T<-5℃)では、溶媒が結晶化により最も強度が高くなり、次にSol試料がGel試料より強度が上昇し、q=0.013と0.026Å-1付近にショルダーを持つ周期的な散乱パターンが観測された。さらに、広角領域、1.6<q<1.8Å-1付近で観測された3つの結晶化ピーク強度比が、各試料で異なる結果が得られており、Sol、Gel試料中の氷の結晶構造に違いがあることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、試料調製に必要な重水素化試薬の購入が予定よりも遅れているものの、軽水素試料を用いた、比較となる測定データの取得は当初計画通りに実施できていることから、おおむね順調に研究が進展している。と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、以下の1)と2)のとおり。 1)重水素化試薬を用いて、部分重水素化したゲル試料を調製し、溶媒のコントラストを変えて小角中性子散乱測定を実施し 、部分散乱関数を抽出することにより、高分子ゲル の「主鎖」及び「側鎖」が構築する構造を明らかにする。 2)ペルチェ式の温度制御装置を調達し、部分重水素化したゲル試料を用いて、SANS及びSAXS測定を実施し、「主鎖」と「側鎖」の各構造の温度依存性及び温度ジャンプさせた時の強度の経時変化を測定する。その結果を考察することにより、体積相転移時に生じるクリティカルスローインダウン現象の要因を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、重水素化試薬を今年度中に購入することができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、重水素化試薬の購入やペルチェ式冷却加熱ステージの購入に係る費用として使用する。
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