2023 Fiscal Year Research-status Report
Structural analysis of polymer gel using partial deuteration contrast variation method
Project/Area Number |
20K05635
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
高田 慎一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (70435600)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高分子ゲル / 中性子小角散乱 / NIPA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子ゲルの「主鎖」及び「側鎖」の各部位が構築する構造を明らかにし、高分子ゲルの構造不均一性の発現メカニズム、体積相転移時の各部位の 役割、さらに水分子と側鎖の相互作用などを解明することが目的である。令和5年度は、温度・湿度制御環境下におけるN-イソプロピルアクリルアミドゲルの引張試験を実施するための環境整備として、湿度発生装置を引張試験機と組み合わせて動作試験することにより、約5°Cから80°C、湿度は約0.5%から80%の範囲を制御可能な温湿度環境下引張試験測定システムを構築することができた。その測定システムを用いて、N-イソプロピルアクリルアミドゲルの引張試験を実施することで、低湿度と高湿度において、応力ひずみ曲線から得られる引張弾性率に2倍以上の差があることが判明した。今後、部分重水素化されたN-イソプロピルアクリルアミドゲルを用いて、温湿度環境下引張試験測定と小角中性子散乱測定の同時測定を実施することで、引張強度変化に対して、高分子ゲルの「主鎖」及び「側鎖」がどのように影響しているのか評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度後半に、温湿度制御延伸下でのin-stu中性子小角散乱測定を実施する計画であった。しかし、測定に使用する延伸装置については、高分子ゲルを用いた動作試験まで実施することができたが、in-stu中性子小角散乱測定を実施するまでには至らなかった。以上のことから、現在までの進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、温湿度制御引張装置の整備を進め、N-イソプロピルアクリルアミドゲルと部分重水素化された同ゲルを、延伸環境下で中性子小角散乱測定を実施することで、延伸により高分子ゲルの「主鎖」及び「側鎖」が構築する構造を評価するとともに、高分子ゲルの引張挙動のメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
令和5年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当初計画どおりに精密機器及び重水素化試薬を購入することができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、令和6年度において引用試験用治具や重水素化試薬の購入に係る費用として使用する。
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