2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機フレキシブルデバイスに向けたダメージレスかつ緻密な印刷バリア封止構造の開発
Project/Area Number |
20K05640
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
硯里 善幸 山形大学, 有機エレクトロニクスイノベーションセンター, 教授 (80570134)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バリア構造 / 光緻密化 / 真空紫外光 / ハイバリア / ポリシラザン / 水蒸気透過度 / ウェットプロセス / 陽電子消滅法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウェットプロセスによるウルトラハイバリアの達成には、水分子サイズのナノ空隙の抑制した緻密な無機膜の形成が重要である。本研究ではSi-Nを主骨格に有するポリシラザン(PHPS)をウェットコートにて成膜後、窒素下・室温にて真空紫外光(VUV光:λ=172nm)を照射することで、緻密なSiNx膜を得ることに成功した。光緻密化PHPS膜をバリア層に用いることで、水蒸気透過度(WVTR)=5x10-5g/cm2/dayを達成した。これはウェットコートで得られるバリア性能の世界最高性能であり、従来値を1桁以上更新する性能である。 VUV照射によりPHPS膜の緻密化が進行するため、VUV照射量に応じたバリア性能向上が期待されるが、実際にはVUV照射量は最適点が存在する。SEM観察等からVUV照射量が大きくなることで、光緻密化による膜収縮に起因するクラック発生がバリア性能低下に結びつくことを明らかとした。緻密化とクラックのトレードオフ解消が今後重要な課題である。 またドイツHZDRと連携し、陽電子消滅法によるナノ空隙サイズとその分布を明らかとした。水分子サイズ(0.38nm)以上のナノ空隙の分布はVUV光照射により減少することを確認した。高いバリア性能が得られる最適条件では、0.38nm以下のナノ空隙分布は77%まで上昇し、高い膜の緻密性が評価された。同時にこれらの知見は水蒸気バリア性能だけでなく、ナノ空間・空隙のサイズや分布を光により制御できることも示しており、今後新しい研究領域にもつなげる予定である。
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Research Products
(10 results)