2020 Fiscal Year Research-status Report
従来未利用な赤外光で発電する透明太陽電池の高性能化
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20K05647
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
船曳 一正 岐阜大学, 工学部, 教授 (50273123)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 色素増感型太陽電池 / 近赤外光吸収色素 / 近赤外光 / 有機色素 / 有機光学材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の太陽電池は、「可視光」を吸収し光電変換するため、黒、青などに着色している。しかしながら、目に見えない「赤外光のみ」を光電変換できれば、「無色」太陽電池が可能になる。本研究は、従来、未利用の赤外光を変換する可視光透過型「無色透明」色素増感型太陽電池(DSSC)の高性能化を達成し、実用化の可能性を示すことを目的とする。 今年度は、この目標を達成すべく、新型コロナ禍の状況であったが、計画通り、以下のような研究を実施した。 分子科学研究所の施設共同利用を利用し、スーパーコンピューターを用い、色素のDFT(密度汎関数)計算を用いた色素のHOMO、LUMO 準位および電子雲分布を予測、TD-DFT(Time-dependant密度汎関数)計算を用いて、遷移の種類や最大吸収波長を予測し、新規な赤外光吸収有機色素群の分子設計を実施した。その結果、いくつかの候補骨格を見出した。 前述の分子軌道計算のデータをもとに、赤外光の各種吸収波長を有する有機色素群の合成に着手し、合成に成功した。まず、合成した色素の光学特性(紫外-可視-近赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトル)の測定・評価を実施した。その結果、ジクロロメタン中、色素の最大吸収波長は、785 nm、最大蛍光波長は、809 nmであり、可視光領域に吸収ピークを持たない新規色素の合成を達成した。この色素は、我々が開発した赤外太陽電池色素増感型太陽電池用色素に比べて、優れた蛍光特性も示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ禍であったが、申請書に記載した通りの計画を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規合成した近赤外光吸収色素の他の物性測定(酸化・還元電位測定、光安定性、熱安定性の測定)と評価を実施する。併せて、有機色素/半導体複合薄膜電極の作成とこの複合薄膜を用いた色素増感型太陽電池のデバイス作成、その太陽電池特性の評価を実施予定である。 これらの測定結果を踏まえ、合成計画に直ちにフィードバックし各種性能向上を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍の状況の中、学会が中止、オンライン開催となったために、計上した旅費を使用しなかった。そのために、上記の金額を次年度の消耗品(試薬、ガラス器具)として使用予定である。
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Research Products
(11 results)