2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of electrochromic devices with high durability, high coloration efficiency and high memory indication
Project/Area Number |
20K05649
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田原 弘宣 長崎大学, 工学研究科, 助教 (80631407)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エレクトロクロミズム / レドックスイオン液体 / ビオロゲン / カルバゾール / エレクトロクロミックイオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きな着色効率と着色メモリー性を実現するエレクトロクロミックデバイス(ECD)として,アノードとカソード双方で着色するEC特性を有する酸化還元活性イオン液体(RAIL)を用いた。このRAILとして,カソード反応で着色するビオロゲン骨格を有するRAILとアノード反応で着色するカルバゾール骨格を有するRAILの等モル混合物を採用した。ECDとしてITOを用いた2電極ECDを作製してEC特性評価を行った。電圧印加によってビオロゲンの還元とカルバゾールの酸化に起因する着色が確認されたが可逆性が得られなかった。そのため,ECD内部でどのような電解生成物が発生しているのかをキャラクタリゼーションするためにECDに十分な電圧を印加し,質量分析やNMR解析を行ったところカルバゾールの2量体が生成していることが分かった。そこで,このECデバイスのCVを測定したところ可逆的な応答が見られ,薄い黄土色/濃緑色のエレクトロクロミズムが確認された。吸収スペクトル測定から,1.5 Vの電圧印加でビオロゲンの1電子還元体に起因する554 nm,610 nmの他,カルバゾールの2量体の1電子酸化体に起因する833 nmと1577 nmの吸収バンドが確認できた。液相のECDとしては極めて広帯域であり,可視~1600 nmの帯域で光学密度変化2を達成した。計測できた着色効率は92 cm2/C (610 nm),176 cm2/C (838 nm)と評価され,可視域においてはビオロゲンに基づくECDと遜色のない結果であり,近赤外域においては凌駕した。このECDの1.5 Vにおける着色定常状態および短絡による消色には数時間を要し,繰り返し応答(耐久性)の評価には至らなかったが,数サイクルのon/off繰り返しでの着色/消色の再現性は認められた。掲げた目標のうち,少なくとも高い着色効率と着色メモリー性は達成できた。
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Research Products
(7 results)