2020 Fiscal Year Research-status Report
球状液晶エラストマーを用いた二周波駆動型ソフトアクチュエータの開発
Project/Area Number |
20K05656
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金子 光佑 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30469192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 液晶 / エラストマー / 誘電率異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高齢化社会を見据えた介護ロボットへの応用を視野にいれ、電場印加による液晶分子の配向制御技術を駆使し、印加交流電場の周波数変化により液晶分子の配向方向を制御して(二周波駆動方式)異方的な形状変化を引き起こす液晶アクチュエータの開発を目的としている。この研究目的を遂行するために以下の3つのアプローチで研究を進めている。 (1)二周波駆動性を有する液晶分子を設計し、液晶相の発現温度範囲を室温に持つ新規二周波駆動液晶を創製する(化学的アプローチ) (2)液晶材料の二周波駆動性を誘電率異方性から評価する(物理学的アプローチ) (3)フローフォーカシングデバイスを用いた球状エラストマーの作製(工学的アプローチ) 交流電場の周波数の違いにより異なる誘電率異方性を示す二周波駆動液晶を用いて球状液晶エラストマーを新規に合成し、電場応答性を持つ微小サイズアクチュエーターへの応用を図った。ビニル基を含む二周波駆動液晶、チオール基(-SH)とビニル基(-CH=CH2)の官能基を持つ架橋剤、光開始剤を有機溶媒中で混合し、連続相中(水層)に分散させた。この際、フローフォーカシングデバイスを用い、粒径が数百マイクロメートルのドロップレット(有機相)を作製した。有機相と連続相をそれぞれ異なる流速で押し出すことにより粒径を制御し、連続相を流れるドロップレットに紫外線を照射することによりチオールーエン反応を行った。その結果、側鎖型・主鎖型・複合型球状液晶エラストマーをそれぞれ合成することに成功した。また、得られた球状液晶エラストマーに電場を印加した結果、エラストマー内部の液晶基の配向が変化することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フローフォーカシングデバイスを用い、粒径を制御した球状液晶エラストマーの合成には成功したものの、電場印加による優位な形状変化は現在までに得られていない。この結果は、二周波駆動液晶および架橋剤の化学構造や比率に大きく依存すると予想され、各成分比を系統的に変化させてエラストマーを合成する必要性が示唆された。これらの状況を鑑み、研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度は、二周波駆動液晶および架橋剤の比率を系統的に変化させて球状液晶エラストマーをさらに合成する。またポリマーネットワーク全体の架橋密度を考慮し、使用する架橋剤の化学構造も再検討する。得られた球状エラストマーに交流電場を印加し、その印加電場の周波数を変化させつつ偏光顕微鏡観察を行う。側鎖型・主鎖型・複合型のそれぞれの球状液晶エラストマーに対して交流電場を印加した際の形状変化の有無を比較するとともに、構成比率と形状変化量との相関や、形状変化速度について詳しく調査する。
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