2020 Fiscal Year Research-status Report
金属-塩複合材料を用いた金属酸化物ナノ材料の開発と応用
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20K05660
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅尾 直樹 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60241519)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黒色酸化チタン / 光触媒 / ナノワイヤー |
Outline of Annual Research Achievements |
チタン金属粒子と食塩粉末を種々の比率で混合しボールミルしたところ、いずれの場合も黒色で均一な粉体が得られた。粉末X線回折パターンを測定したところ、チタン金属と食塩のパターンのみが得られた。本材料を室温下水酸化ナトリウム水溶液で処理したところ、白色の粉体が得られた。本材料をX線回折による結晶構造解析やTEMによる微細構造観察を行ったところ、層状構造からなるチタン酸ナトリウムナノワイヤーが生成していることがわかった。組成やナノ構造に対するチタンと食塩の比率の違いによる影響は見られなかった。本反応を食塩の代わりに臭化ナトリウムや塩化カリウムを用いて行った場合でも同様な材料が得られ、生成物の組成や構造に与える影響は見られなかった。次にこのワイヤー材料を酸処理して不活性ガス下で焼成したところ、黒色の粉末に変化した。粉末X線回折により結晶構造を解析したところ、本材料はアナターゼ型の酸化チタンに変化しており、焼成温度をより高温にするとルチル型に変化することが分かった。またTEM観察の結果、焼成前のナノワイヤー構造が焼成後も維持されていることが分かった。本材料は可視光を吸収することから、可視光応答型光触媒としてトルエンの空気酸化反応に利用したところ、青色LED照射によってトルエンが空気中の酸素で酸化され、選択的にベンズアルデヒドが得られることがわかった。触媒活性は材料作製時の焼成温度に依存し、ルチル型の存在比が少ないアナターゼ型であるときに最も光触媒活性が高まることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りチタン金属粉末から黒色酸化チタンナノワイヤーを作製することに成功し、その作製条件の違いによる組成やナノ構造など材料への影響を調べた。また得られた材料を酸処理して焼成することで従来とは異なる黒色酸化チタンナノワイヤーの作製法を開発するとともに、本材料がトルエンの空気酸化反応に有効であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に見出した黒色酸化チタンナノワイヤーの光触媒機能を様々な反応系に適用して、その有用性を明らかにするとともに、金属-塩複合材料を原料とする新たな金属酸化物ナノ材料の作製法を他の金属にも適用し、その一般性を明らかにするとともに、得られたナノ材料の機能性を評価する。
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Research Products
(1 results)