2022 Fiscal Year Annual Research Report
金属-塩複合材料を用いた金属酸化物ナノ材料の開発と応用
Project/Area Number |
20K05660
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅尾 直樹 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60241519)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 可視光応答光触媒 / 酸化チタン / 酸化ニオブ / ナノワイヤー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでに得られた知見の中から特にニオブ金属-食塩から得られたナノワイヤー材料に注目して、その作製方法、触媒活性、基質、反応機構について検討を行った。まずニオブ金属と食塩の混合物をボールミルで粉砕し、アルカリ処理と酸処理を行った。得られた白色粉末を不活性ガス下で300℃から500℃まで50℃刻みの異なる温度で焼成したが、得られた材料の粉末X線回折パターンやBET法による比表面積については、温度の違いによる差はあまり見られなかった。一方、UV-vis吸収スペクトルを測定したところ、焼成体はいずれも可視光を吸収したが、500℃焼成体の吸収端は他の材料よりも短波長側にシフトしていることがわかった。次にこれら材料を光触媒として用いて、オレフィンの空気酸化開裂反応を行った。α―メチルスチレンを基質として、酸素雰囲気下で3時間青色LEDを照射したところ、350℃で焼成した材料の触媒活性が最も高く、500℃焼成体の活性が最も低かった。またブランク実験を行い、本材料が光触媒として機能していることを確認した。次に様々な基質に対して反応を行い基質一般性について調べた。また、反応後の触媒を回収して再利用したところ、3回繰り返して反応を行っても収率に大きな変化は見られず、本触媒が再利用可能であることを明らかにした。最後に、本反応を様々な中間体捕捉剤存在下で行った結果、ホールやスーパーオキシドアニオンラジカル捕捉剤存在下で触媒活性が大きく低下することから、これら中間体が本反応に深くかかわっていることを明らかにし、反応機構を提唱することができた。以上の結果から、本研究を通してチタンやニオブ金属と食塩の複合材料を用いることで、可視光応答性の光触媒を簡便に作製できることを見出し、また本触媒がトルエンやスチレン誘導体の空気酸化に有効であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)