2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of triple conductors based on layered perovskite iron oxides
Project/Area Number |
20K05662
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
籠宮 功 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40318811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 層状ペロブスカイト / インターカレーション / トリプルコンダクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で主に着目しているFe系層状ペロブスカイト酸化物は,大気中で水蒸気を取込むことで容易に水和し,プロトン/水酸イオン伝導性を示すことが知られている.この水和により,層状ペロブスカイト構造中の岩塩層に、水分子及び水酸化物イオンがインターカレーションすることが分かっている.このインターカレーションによる局所構造変化を調査することがこの系のイオン伝導機構を明らかにする上で重要な手がかりとなると考え,インターカレーション前後のX線吸収微細構造解析(XAFS)を行った.これによりインターカレートした水分子は,主に岩塩層のLaの近くに配位することが分かった.一方、水酸基は岩塩層のSrに近い酸素位置に存在した.これらのインターカレーションによって、岩塩層間がc軸方向に伸長した。この試料について100℃以上に温度を上げると、水分子が脱離する。この際岩塩層のLaと最近接酸素の結合長は、インターカレーション前の場合に戻るが、岩塩層間は伸長したままであった。さらに温度を上げ、Sr付近に存在した水酸基が250℃で脱離することで、岩塩層間はインターカレーション前とほぼ同様となりようやく元に戻る。水蒸気濃淡電池の実験結果によれば,約200℃まで水酸イオン伝導を示すことから、伸長した岩塩層間の環境下で、Srに近い位置に配位する水酸基が、この系のイオン伝導に重要な役割を果たしていると考える。この結果は、Fe系層状ペロブスカイトに基づくトリプルコンダクターの開発指針を与えるものである。
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