2022 Fiscal Year Research-status Report
巨大ナノサイズ金属超分子を用いた触媒活性多孔質構造の構築
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20K05664
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小島 達弘 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (80766501)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多孔質触媒 / ポリオキソメタレート / 超分子フレームワーク / 多核錯体 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多核錯体分子をベースとしたナノサイズの多孔質フレームワークを構築し、その内部に分子性触媒であるポリオキソメタレートを担持させた多孔性触媒の開発を目的としている。 二年度までに、カチオン性メソポーラスフレームワークのイオン性結晶を各種金属オキソ酸(タングステン酸(WO42-)、モリブデン酸(MoO42-)、クロム酸(CrO42-)、バナジン酸(VO43-))塩の水溶液に浸漬することで、結晶性を維持したままアニオン交換により、各種金属オキソ酸を包接することが可能であることを報告している。三年度ではこのメソポーラスイオン性結晶内部で、金属オキソ酸の縮合反応によるポリオキソメタレートの形成が可能かを検討した。イオン性結晶を浸漬した各種金属オキソ酸塩水溶液のpHをHClで5~2程度に調整したところ、結晶の色に変化が生じた。IRスペクトルの結果、イオン性結晶内でそれぞれ次に示す化学種へと縮合反応が進行したことが明らかとなった。 WO42- → W7O246-、MoO42- → Mo7O246- → Mo8O264-、CrO42- → Cr2O72-、VO43- → V10O286- この時PXRD測定から溶液内での結晶性は維持されており、メソポーラスフレームワークは維持されていることを確認している。これらはいずれも溶液中の縮合反応と基本的に同等の傾向を示しており、期待した固相内での特的な反応性は見られなかった。 以上のように、メソポーラスイオン性結晶内でポリオキソメタレート形成に成功し、多孔質フレームワーク内にポリオキソメタレートの担持に成功した。引き続き最終年度ではこれらを用いた触媒反応の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三年度は結晶性フレームワーク内部での金属オキソ酸の形成反応に取り組み、当初の最大の目的であった結晶内部でのポリオキソメタレートの直接担持という目的を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
三年度にポリオキソメタレートの担持に成功した各種固体を用いて触媒反応、主にスルフィド酸化反応について検討し、特に金属種の違いや単核のオキソ酸と多核のポリオキソメタレートの反応性の違いを比較する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより、海外における実験や国際会議参加などの出張が減ったため旅費が当初予定していたよりも大幅に抑えられた。また科研費以外の外部資金の獲得もあり消耗品の一部はそちらから補填された。
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