2021 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of Copper-Tin based Semiconductor Photoelectrode for Transformation of Water and Carbon-dioxide Resources
Project/Area Number |
20K05673
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
東本 慎也 大阪工業大学, 工学部, 教授 (70368140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Cu2SnS3(CTS) / 電解析出法 / 光カソード電極 / 単斜晶構造 / 水の光分解 / 水素生成 / 太陽光 / 半導体光電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
p型半導体の1つである銅-スズ硫化物(Cu2SnS3, CTS)薄膜電極は、太陽電池の電極素子として、専ら、真空系(電子ビーム蒸着法など)で作製されているが、非真空系(ソフトプロセス)による作製技術の確立、そして人工光合成系への応用は、我々が知る限りでは報告されていない。本研究では、薄膜電極の設計因子と形態、結晶構造および電子状態に関する知見を得ることを目的としている。 半導体光電極を用いた高効率・低コストでの水の完全分解による水素製造を目指し、電解析出法によるCuおよびSnの電着、そして固体の硫黄を用いた硫化により、安価にCTS薄膜を作製することに成功した。CTS薄膜は、XRD、ラマン、ならびにEDX測定より、Cu/Sn比によらず単斜晶構造を形成することが示唆された。Cu/Sn比の変化によりXRDピークのシフトが見られたが、SnリッチなCTSとCuリッチなCTSのいずれにおいても高角度側へのシフトが確認された。Snリッチな場合には、Cu空孔の生成あるいはCuからSnへの置換が起こり、Cuリッチな場合にはSnの空孔が主に生成すると考えられる。Cu/Sn比と光電流の関係より、Cu/Snの比率が約1.5では光電流が最大となることが確認できた。つまり、Sn-リッチな組成において、光電流特性が向上することがわかった。CTS光電極はおよそ1400 nm 以下の近赤外線・可視光を吸収し、0.91 eVのバンドギャップを持つことが確認された。フラットバンド電位(0.25 V vs. RHE)であることから、伝導帯下端は約-0.68 Vであると見積もられ、水素発生能力を持つと言える。また、緩衝溶液中にて、CTS光電極に約1時間の連続光照射を行ったところ、CTSは初期の光電流に比べて94.5%の光電流を維持し、安定して水素が生成することを明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、CTS薄膜電極が、非真空系(ソフトプロセス)による作製が確立できたこと、そして水の光分解による水素製造が可能であることを明らかにした。また、本研究により、CTS薄膜のCu/Sn組成と光電極特性との間に相関関係が得られたこと、また、CTSの活性構造は単斜構造であることに関する知見が得られた。また、この成果を国際誌Catalysis Today (特別号)に投稿し、審査を受けている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したCTS光電極を用いて、二酸化炭素の光固定化反応について検討を行うこと、また、CTSの更なる高効率化を目的として、CTSへのゲルマニウムイオンのドープにより、Ge-CTS光電極を作製し、その特性評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品の一部を大学から支給された経費により賄ったため、科研費の一部を次年度へ繰越金とした。次年度では、研究を遂行するにあたり、試薬、ガラス器具の購入に用いる予定である。
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Research Products
(11 results)