2022 Fiscal Year Annual Research Report
希土類含有ペロブスカイト型光触媒のカチオン置換による可視光応答化
Project/Area Number |
20K05675
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
平 靖之 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (40369939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光触媒 / 可視光応答化 / 希土類元素 / ペロブスカイト / セラミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではd0,d10電子配置を有するd,pブロック元素の代わりに,近年報告されたfブロック元素である希土類を含む複合酸化物触媒を合成することで,新規光触媒の開発を試みた。希土類を含む光触媒では,他の希土類を置換固溶した場合の光触媒活性や,色素分解についての報告はされていないため,希土類を含むペロブスカイト型複合酸化物BaCe0.95R0.05O3(R = La, Pr, Gd)を合成し,可視光照射下の光触媒活性を色素分解により評価するという着想に至った。 紫外光応答型光触媒であるBaCeO3の錯体重合法による合成時の焼成温度と,残存する不純物との関係について明らかにした。 続いて,BaCeO3を母体とする固溶体試料BaCe0.95R0.05O3(R = La, Pr, Gd)を合成し,その光触媒活性を可視光照射下で評価した。拡散反射スペクトル測定よりBaCe0.95R0.05O3はいずれもBaCeO3より狭いバンドギャップを有することが示唆された。BaCeO3,BaCe0.95La0.05O3,BaCe0.95Gd0.05O3,BaCe0.95Pr0.05O3ではそれぞれ3.05 eV,2.89 eV,2.85 eV,2.46 eVとなる。可視光応答型光触媒の目安の一つとして,バンドギャップが3 eV以下であることが挙げられるが,希土類イオンR3+(La,Pr,Gd)を置換固溶した試料は全てこれを達成した。 MB色素分解試験では,全ての固溶体試料BaCe0.95R0.05O3が,BaCeO3より高いMB分解効率を示した。BaCeO3のMB分解効率が36%であったのに対して,BaCe0.95R0.05O3(R=La,Pr,Gd)の分解効率はそれぞれ63%,96%,43%であった。この試験と拡散反射スペクトルの結果では相関が認められ,可視光をよく吸収する試料ほど高い分解効率を示すことが分かった。
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