2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic studies of hydrogen production over biomolecules decorated CdS nanoparticles
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20K05678
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
有馬 ボシールアハンマド 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (30596549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 太陽エネルギー変換 / 水素製造 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機分子(バイオ分子等)によるCdSの光腐食防止の機構解明及び高効率な水素製造システムの開発を目的としている。これまでの研究ではCdSの合成の際、エチレングリコールを反応溶液として用いた場合、水素製造性能を高めるうえで有効性があることが分かった。これまでの実験結果で通常のCdSよりバイオ分子/CdSナノコンポジットからの水素発生量を約7倍増大させる事に成功した。また、バイオ分子添加ありと添加なしのCdSの耐久性について比較したところ、バイ分子添加したCdSのほうが耐久性が高いというが確認された。この結果からバイオ分子による耐久性の向上は有効性があることがわかった。次は、異なる化学構造のバイオ分子(ヒスチジン、リシン、フェニルアラニン、トリプトファン等)を用いてCdSナノコンポジットの合成と水素発生量の比較を行た。その結果、フェニルアラニンを使用した時水素発生量は最も高い事が分かった。また、バイオ分子添加したZnドープ型CdS(ZnxCd1-xS)ナノコンポジットの合成と水素製造実験をした結果、通常のCdxZn1-xSより水素発生量が1.7倍増大した事が分かった。これらの結果を元に水素発生量増大の機構について考察した。これまで得られた結果を用いて国内学会発表3件と学術論文7件を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの実験結果を元に水素発生量増大の機構について考察した。この機構によると芳香環を持つ有機分子が水素製造に貢献することが分かった。しかし、芳香環を持つ通常の有機分子(アセトフェンとナフタレン)を添加したCdSを合成し、水素製造実験した結果、水素発生量の増大が見られなかった。この原因について現在 調べているところである。また、合成した材料の耐久性について調べたところ、バイオ分子の添加によりCdSの耐久性(光腐食の防止)が向上したことが分かった。しかし、水素の産業生産に応用するには今の耐久性は十分ではないと判断し、さらなる研究が必要と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験では7種類のバイオ分子を用いて水素製造評価した結果、ヒスチジンとフェニルアラニンを添加した時の水素発生量が最も高い事が分かった。今後は代表的なバイオ分子としてフェニルアラニンを添加したCdSナノコンポジットを用いて水素製造増大の機構についてさらに調べる。具体的な研究計画として、フェニルアラニン添加したCdSナノコンポジット水熱合成法を用いて試料を合成する。まず、CdSナノコンポジット中にフェニルアラニンがどのような状態で存在するのか調べる。フェニルアラニンの化学構造を確認の為に主にフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)測定法を利用する。水熱合成法の熱処理前と後のフェニルアラニンのFT-IR測定結果を回析し、比較する。さらに、バイオ分子を添付によってCdSの結晶構造の変化について調べるためにリートベルト解析を用いる。また、バイオ分子とCdSとの電荷のやり取りや相互作用について蛍光光度計、インピーダンス測定法、電気化学測定を利用し、機構について考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染の影響で研究活動が落ち込み、物品などの購入が遅れたので今年度の予算の一部が余った。また、国内外の学会等に参加や研究発表予定だったが、新型コロナウイルス感染で中止となり、旅費が余った。
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Research Products
(15 results)