2020 Fiscal Year Research-status Report
固体電解質材料合成の多様化と全固体リチウム硫黄電池への応用
Project/Area Number |
20K05683
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 耕太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40708492)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リチウム硫黄電池 / 全固体電池 / 固体電解質 / 正極複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高性能な全固体リチウム硫黄電池実現のため,(I) 固体電解質材料合成の多様化を実現し,(II) 液相法を用いて,三次元規則配列したメソ孔を有するカーボンレプリカ(CR)内へ,硫黄活物質,固体電解質を導入した正極複合体を合成する.具体的には次の3項目の達成を目指す.(i)固体電解質材料合成の多様化による,電解質供給量の増大, (ii)様々な複合体作製条件のスクリーニング, (iii) 電池性能評価とフィードバックによる高性能化. 2020年度はLi10GeP2S12系固体電解質の大量合成を検討し,アルゴン気流下での熱処理プロセスにより,一回の合成で5 g程度の高品質なLi10GeP2S12結晶相が得られる条件を確立した.各組成試料のイオン導電率を詳細に調べると,アルゴン気流下での合成において,わずかではあるがイオン導電率が高い傾向があることが分かった.また,得られた電解質を固体電解質として用いて全固体電池を作製して充放電試験を行うと,可逆的な充放電が可能であり,合成法による顕著な変化は確認されなかった.さらに,本合成手法はGeを同族元素に置き換えたLi-M-P-S系電解質にも応用可能であることが分かった.Li10GeP2S12電解質の液相合成については,低級アルコールを溶媒として用いた合成条件について詳細を検討した.均一溶液の組成分析や,溶解析出前後の形態変化から,2 wt.%までであれば均一溶液が再現よく得られることが分かった.正極複合体の作製は,硫黄の充填量を80wt.%まで上げたS/CR複合体を用いて最適化を進めた.充放電中の抵抗増大と複合体内部構造変化の相関や,繊維状炭素材料を加えることでサイクル特性が改善することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成目標である三項目について成果が上がっている. (i)Ge系のLi10GeP2S12材料について合成条件の最適化が完了し,合成プロセスによる物性の差異とその起源についても理解が進んでおり,元素置換系への展開の可能性も見えている. (ii)液相合成における溶液の分析,溶解析出前後の分析などについては,有効な手法が見いだせている. (iii)電池性能評価と複合体構造の相関を見いだすため,大気非暴露で電子顕微鏡観察を行う解析プロセスが確立出来た.炭素材料添加の効果についても確認出来ている.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降は固体電解質合成プロセスの多様化と電解質組成の拡大,液相プロセスの確立,複合化と電池性能,複合体構造の相関解析を推し進め,目標達成を目指す. (i)Ge系以外で合成プロセスの多様化を実現し,複合体作製へ展開する. (ii)液相合成条件を検討し,複合体作製の条件スクリーニングを行う. (iii)電池性能評価について,同一条件で複数の電池を作製し,性能評価の再現性について検証する.その上で,サイクル特性,出力特性,内部抵抗と,複合体構造の相関を理解する.
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