2021 Fiscal Year Research-status Report
固体電解質材料合成の多様化と全固体リチウム硫黄電池への応用
Project/Area Number |
20K05683
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 耕太 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40708492)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リチウム硫黄電池 / 全固体電池 / 固体電解質 / 正極複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高性能な全固体リチウム硫黄電池実現のため,(I) 固体電解質材料合成の多様化を実現し,(II) 液相法を用いて,三次元規則配列したメソ孔を有するカーボンレプリカ(CR)内へ,硫黄活物質,固体電解質を導入した正極複合体の合成を行った. 2021年度は前駆体処理,熱処理温度,ガス純度などのプロセス検討により,アルゴン気流下で合成可能なLi10GeP2S12系固体電解質の多様性を開拓した.組成としてLi-M-P-S(M = Ge, Si, Sn, P)を対象とした.M = Ge, Sn, Sn-Siに関してはLi10GeP2S12型構造相が再現よく得られる条件を見いだすことができ,得られた試料のイオン導電率は従来の真空封入法で合成した試料と同程度の値となることを確認した.さらに,M=Si系については,硫黄の一部を酸素やハロゲンで置き換えることで,アルゴン気流下で目的相が得られることを見いだした.一方で,一連のLi-M-P-S系電解質の液相合成については,最適な溶媒と焼成条件が見いだせず,正極複合体の合成にはLi2S活物質とLi6PS5Br系電解質の組み合わせを検討した.Li2S, P2S5, LiBrおよびCRをLi2S:CR:電解質の重量比が4:1:5となるように液相中で混合し,焼成することで正極複合体を得た.同様の重量比で機械混合により作成した正極複合体と電池性能を比較すると,液相混合の方が1.5倍程高い放電を示すことが分かった.また,細孔径の異なるCRを試験した結果,より径の大きな(100 nm)CRにおいて比較的高い放電容量(700 mAh/g)を確認した.さらに,ハロゲン化リチウムや炭素材料などの添加効果についても検討を行っており,液相混合による正極複合体の設計における,電池性能決定因子のスクリーニングを順調に進めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成目標である三項目について成果が上がっている. (i) Li-M-P-S(M = Ge, Si, Sn, P)系のLi10GeP2S12型材料について,複数の元素置換系でアルゴン気流下合成の条件出しが完了した. (ii) Li2S活物質とLi6PS5Br系電解質の組み合わせにおいて,スクリーニングが着実に進行している. (iii) ハロゲン化リチウムや炭素材料など,複合体への添加効果について検証が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,液相法による正極複合体合成の最適化に的を絞り,複合化と電池性能,複合体構造の相関解析を推し進め,目標達成を目指す. ・添加剤を含めた液相合成条件を検討し,複合体作製の最適化を進める. ・電池性能評価について,同一条件で複数の電池を作製し,性能評価の再現性について検証する.サイクル特性,出力特性,内部抵抗と,添加剤を含めた複合体構造の相関を理解する.
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