2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K05692
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
西尾 和之 東京工科大学, 工学部, 教授 (00315756)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アノード酸化 / 一次電池 / 水系電池 / 酸化金 / 多孔質皮膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫酸などの無機系電解質水溶液中の金のアノード酸化により,ナノスケールの網目状細孔を有する金酸化物皮膜を得ることができる.本研究課題は,この金酸化物を電池の正極としたときの放電特性を詳細に把握することである.期間全体を通して金の前処理方法およびアノード酸化挙動が安定する金の表面処理手法を確認した結果,2022年度にはアルミナ微粒子を含む液体研磨剤を用いた鏡面研磨の後に電気化学的な酸化・還元サイクルを適切な電位で繰り返すことにより清浄な金表面が得られ,アノード酸化時の電流あるいは電位の挙動が安定することがわかった.金酸化物の生成量の再現性に優れるアノード酸化条件の検討は,期間全体を通した研究により,電位制御ではなく電流制御により反応速度を一定とする方が金酸化物の生成量が安定することがわかった.このとき,アノード酸化時の電気量(QA)に対する,酸化皮膜をカソード掃引させた時の還元電気量(QC)の比,QC/QAが0.0108 (1.08%)となった. 金酸化物皮膜をカソード還元させた時の電気量が酸化金の生成量に一致するものとみなし,2022年度にこの酸化金の完全放電時間が1時間となる電流密度(0.15 mAcm^-2)で放電測定を行い,参照電極(水銀/硫酸水銀,+0.64V vs. SHE)の補正を行ったところ,0.92 V vs. SHEを維持し,完全放電の直前で急激に電位が低下する挙動が得られた.また,放電中に僅かながら電位が上昇する挙動がみられた.この電位の上昇は,金酸化物の還元反応場がナノスケールの細孔を有する金酸化物皮膜の底部から皮膜表面に徐々に移動し,細孔内の液抵抗が徐々に減少したためであると考えられる. 完全放電の予測時間を30分および2時間とし,放電速度を2倍および1/2に変化させても0.92 V vs. SHEの電位が放電完了直前まで維持されることが確認された.
|