2020 Fiscal Year Research-status Report
Determination of Common Targets of Metal Complexes that Induce Programmed Cell Death of Cancer Cells and Development of New Anticancer Drugs
Project/Area Number |
20K05712
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
青木 伸 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (00222472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イリジウム錯体-ペプチドハイブリッド / パラトーシス / プログロム化細胞死 / 小胞体 / ミトコンドリア / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
プログラムされた細胞死(Programmed Cell Death, PCD)は、固体の生命維持のために遺伝子によって制御された細胞死であり、発生時の形態形成や恒常性維持、がん、自己免疫疾患、ウイルス感染症等と密接に関わっている。従来、細胞死は「PCDとしてのcaspase依存性apoptosis」と「受動的な死=necrosis」に分類されていたが、最近necroptosis、autophagic cell death、paraptosisなど多様なPCD様式が明らかになり、それらを利用するがん治療の可能性が指摘されている。例えば、apoptosis耐性を獲得したがん細胞の細胞死を誘導するためには、異なるPCDを誘起する薬剤が必要不可欠である。 paraptosisは近年発見されたPCDの一つであり、ルテニウムおよびイリジウム(Ir)などの金属錯体や天然由来の化合物も、細胞内Ca2+濃度上昇や小胞体とミトコンドリアの液胞化を伴うparaptosisを誘導することが報告されている。筆者らは、Ir錯体の代表的な例であるIr(tpy)3 (tpy = 2-(4’ -tolyl)pyridine)にカチオン性ペプチドを導入したIr complex-peptide hybrids (IPHs)がJurkat細胞のparaptosisを誘導することを発見した。本研究では、IPHsや、paraptosisを誘導する天然物(celastrol、hesperidine)が共通のシグナル伝達分子を活性化すると仮定して、ターゲット分子の探索と同定を行い、paraptosisの分子機構を明らかにすることを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来はC3対称性のIr錯体に3分子のKKKGGペプチドを導入していたため、本年度は、KKKGGペプチドの数が2つ、1つである誘導体を合成し、ペプチド数(それに伴う正電荷)と抗がん活性の間に良い相関があることを確認した。次に、paraptosisを誘導すると報告されているcelastrolやhesperidineとの作用機序を比較するため、細胞形態の変化、細胞死に関わる分子のWestern blot、死細胞の染色実験と透過型電子顕微鏡(tunneling electron microscopy, TEM)画像の解析などを行った。その結果、IPHsとcelastrolが異なる細胞内シグナル伝達経路を経由してがん細胞のparaptosisを誘導することを見出した。そして、i) IPHがカルモジュリンまたはカルモジュリンのCa2+錯体に結合すること、ii) IPHは最初に細胞膜へ移行し、その後ミトコンドリアへ移行すること、iii) IPHはリソソームと小胞体の液胞化を誘導するが、celastrolはリソソームの液胞化を誘導すること、iv) IPHが小胞体からミトコンドリアへのCa2+輸送を促進し、ミトコンドリア膜電位を低下させること、それに対してcelastrolは細胞質内のCa2+濃度を上昇させるが、ミトコンドリア内のCa2+濃度とミトコンドリア膜電位には影響しないこと、などを明らかにした。これらの結果から、本研究はほぼ予定通り進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果から、IPHが小胞体からミトコンドリアへの直接的なカルシウムイオン輸送を誘起し、ミトコンドリアの膜電位低下、小胞体およびリソソームの液胞化を誘導して、その結果としてparatosisを誘導していることがわかった。これらのことから、小胞体からミトコンドリアへのカルシウムイオン輸送と、小胞体膜とミトコンドリア膜の接点に存在するミトコンドリア介在性膜とその中にある分子が、paraptosis誘導に重要である可能性が示唆された。従って、来年度はIPHsとこれらの分子との相互作用を中心に検討する予定である。
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Research Products
(40 results)
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[Journal Article] Synthesis, Anticancer and Molecular Docking Studies of New Class of Benzoisoxazolyl-piperidinyl-1,2,3-triazoles2020
Author(s)
G. Muniyappan, S. Kathavarayan, C. Balachandran, E. Kalliyappan, S. M. Mahalingam, A. Ajees A. Salam, S. Aoki, N.Arumugam, A. I. Almansour, R. S. Kumar
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Journal Title
The Journal of King Saud University-Science,
Volume: 32
Pages: 3286-3292
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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