2020 Fiscal Year Research-status Report
アンチセンス核酸の脱PS化を志向したRNase H活性を持つ修飾核酸の開発
Project/Area Number |
20K05716
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
張 功幸 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50347423)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核酸化学 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNase H依存型アンチセンス核酸(ASO)配列中のRNase H活性を示す部分は、通常ホスホロチオエート(PS)修飾したDNAが使用される。しかし、PS修飾に由来する毒性発現やリン原子上のキラリティ発現に伴いASOが多数のジアステレオ混合物になるなどの課題が残されている。そのような中、本研究ではASOのPS修飾DNA部分(ギャップ部分)の脱PS化を可能にする修飾核酸の創製を目指す。本年度は、計画調書に記載した2つタイプの置換チミジン類を化学合成した。次に、それら修飾チミジン類がRNase Hの基質になるかを調べるために、DNA自動合成機によりそれらをギャップ部分に導入したオリゴ核酸の合成を行った。なお、ギャップ部分への導入数や場所については複数の異なるパターンのものをそれぞれ合成した。さらに、今回合成した修飾チミジンの1つはオリゴ核酸合成後に誘導体化できる基質であるため、今後本研究で使用できるアナログを多種類合成することが可能になる。 次に今回合成したオリゴ核酸と標的一本鎖RNAが形成する二重鎖核酸の熱安定性を融解温度測定により調べた。結果、今回の修飾核酸はいずれも、PS修飾DNA比べて十分な熱安定性を保持していることが確認できた。 一方で、RNase H活性を評価するための系の検討も行った。用いるオリゴ核酸や標的RNA、酵素の量・濃度、反応時間や検出方法などを詳細に調べるた結果、その評価系を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに計画調書に記載の化学修飾オリゴ核酸の合成に成功し、RNase H活性の評価系を確立することもできた。さらにオリゴ核酸合成後修飾法で多種の誘導体を合成できる基質を含むオリゴ核酸を合成することができたため、次年度以降本研究は一挙に進むことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き計画調書に従って研究を進める。具体的には、オリゴ核酸合成後修飾法を活用して複数種のチミジンアナログを含むオリゴ核酸を化学合成し、すでに合成したオリゴ核酸とともに、RNase H活性評価を行う。得られた結果をもとに、より高いRNase H活性を持つ基質の分子デザインを行い、フル修飾(PS修飾DNAの利用なし)でRNase H活性を持つアナログの開発を目指す。RNase H活性を持つアナログを見出すことができた場合、そのアナログを含むオリゴ核酸の核酸分解酵素に対する抵抗性も調べる。 以上の計画で研究を進めて、最終的にはASOのギャップ部分に使用するPS修飾DNAに代わる、RNase H活性と核酸分解酵素に対する抵抗性を兼ね備えた修飾核酸を開発する。
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Causes of Carryover |
残額は1万円未満であり、ほぼ計画通りに予算を使用した。残額は次年度の薬品購入に充てる。
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