2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K05723
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| Research Institution | Utsunomiya University |
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Principal Investigator |
二瓶 賢一 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10307209)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | ポリフェノールオキシダーゼ / レドックス反応 / モノフェノール / ジフェノール / 配糖体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)の働きにより，モノフェノールは，ジフェノールを経由して，キノンへと酸化される．その過程にビタミンCなどの還元剤を添加するとレドックス反応が起こり，反応系中にジフェノールが蓄積する．本研究では，このようなPPOと還元剤によるレドックス反応をモノフェノールからジフェノールへの変換に利用し，新しい機能性分子を開発することを目的とする．
本年度は，当初の計画である「ドーパ含有ペプチドなどジフェノールの効率的合成法の開発」に従い，レドックス反応の基質となるモノフェノール型の天然配糖体の全合成を行った．残念ながら天然配糖体を得ることはできなかったが，誘導体であるモノフェノールジグルコシドの化学合成に成功した．そのモノフェノールを基質に用い，レドックス反応を行って，反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で経時的に分析した．その結果，わずかではあるが，生成物であるジフェノールジグルコシドと推定されるピークが観察できた．市販のモノフェノール型配糖体を用いて，レドックス反応を行うと，その反応は容易に進行する．しかしながら，本研究で合成した配糖体のレドックス反応は，非常に遅い．現在，その原因について構造的な観点から解析を行っている．また，他の植物由来のポリフェノール配糖体を全合成し，PPOを用いて活性評価を行った．その結果，天然物の糖部分の立体構造の決定に誤りがあることおよび，このポリフェノール配糖体が弱いPPO阻害活性を有することを明らかにした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
天然モノフェノールを基質として，レドックス反応を実施する当初の目的は達成できた．しかしながら，その反応は予測したほど早くは進行せず，現在，その原因について詳細な解析を行っている．また，植物由来のポリフェノール配糖体の全合成を行い，それがPPO阻害剤として働くことおよび天然物の構造に誤りがあることを明らかにした．レドックス反応によるペプチドの修飾については，条件のさらなる検討が必要である．
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| Strategy for Future Research Activity |
引き続き「ドーパ含有ペプチドなどジフェノールの効率的合成法の開発」の推進を図る．また，レドックス反応の基質としてペプチドを用い，「より複雑なペプチドホルモンの構造修飾」に取り組む．さらに，「ジフェノールの機能性の検証」の段階として，レドックス反応の生成物を取得し，生理活性の評価を行う．
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| Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大に伴い，研究活動が一時的に停止した期間があったため，次年度使用額が生じてしまった．2021年度は，その差額分を主に物品費として使用し，研究を遂行する予定である．
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