2021 Fiscal Year Research-status Report
HSF-1 is indispensable for injured optic nerve regeneration.
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20K05725
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
杉谷 加代 金沢大学, 保健学系, 助教 (20162258)
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2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | Heat shock factor 1 / zebrafish / retina / optic nerve injury / sox2 / klf4 / oct4 / Yamanaka factor |
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| Outline of Annual Research Achievements |
魚類では中枢神経軸索が損傷を受けた場合、再生・修復の働きにより完全な機能の回復が観察される。そのため視神経を切断しても、網膜の神経細胞は細胞死を回避して新しく視神経突起を形成し、数か月後には視覚機能の回復に至る。本研究では遺伝子のデータベースが活用できるゼブラフィッシュをモデル動物とし、視神経をクラッシュして損傷させることにより中枢神経損傷モデルを構築した。視神経損傷直後から回復に至る過程のなかでも特に、損傷直後から24時間以内の急性期において、発現が上昇するHeat shock factor 1 (HSF-1)に着目し、その発現の変化と、他の転写因子への関与について解析を行った。
HSF-1の変動について網膜をサンプルとして調べたところ、視神経損傷後30分後には発現が上昇することがin situ hybridization 等の解析により確認できた。この非常に早い段階での発現上昇は、他の再生関連分子に比べより早く変化する分子であることが示唆された。また、HSF-1の増加に同期して、sox2, oct4，klf4などの山中因子として知られる転写因子が同様に網膜で発現増加することを確認した。このことは、HSF-1が再生関連分子をいち早く誘導する分子として重要である可能性がある。そこで、HSF-1のモルフォリノ投与実験により網膜でのHSF-1発現を抑制すると、sox2, oct4，klf4は、いずれも発現増加が著しく抑制される結果となった。これらのことから、HSF-1が、視神経再生に向けたカスケード反応のスタートに関与する分子であることが強く示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュ視神経損傷モデルを作製し、実験的に視神経を損傷させ、その直後から経時的に網膜、視神経および視蓋のサンプル採取を行った。各サンプルを用いてmRNAおよびタンパクレベルでの発現について解析を行ったところ、HSF-1は30分後には網膜での発現増加が確認できた。また、このHSF-1の変動に同期して山中因子として知られるsox2,oct4, klf4の転写因子が同様の早い変動を示すことが確認できた。モルフォリノの眼球内インジェクションによりHSF-1の発現を抑制した結果、これら山中因子をはじめとした転写因子やcellular FactorXIII-Aなど、他の再生関連分子が発現抑制を受けるという結果が得られている。
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| Strategy for Future Research Activity |
アダルトゼブラフィッシュの網膜では、視神経損傷後にHSF-1の発現に伴ってiPS 細胞誘導遺伝子であるKlf4, Sox2, oct4 の3つの転写因子が発現増加しており、損傷を受けたニューロンが生存し続けるだけでなく、一旦、幹細胞化して未熟な状態に戻り、その後増殖・再分化して軸索再伸長が誘導されるということが推定された。Klf4, Sox2, oct4 などの転写因子とアンチアポトーシス分子の発現、あるいは神経突起再伸長との関連について今後検索する。また、創傷治癒との関連を調べるため、細胞外マトリックスや膜に存在する細胞接着分子の動態についても解析を予定している。
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| Causes of Carryover |
予算についてはほぼ計画通りに使用してきたが、一部キャンペーン価格等で通常より安い消耗品等を購入することが出来たため、その差額が生じた。繰越金については、次年度の予算に組み込み、実験遂行に必要な遺伝子実験関連試薬の購入に充てる予定である。
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