2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規活性物質の創出に向けた天然物活性中心骨格を起点とするタンパク質の機能制御
Project/Area Number |
20K05730
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
土川 博史 大分大学, 医学部, 特任講師 (30460992)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アセチルコリン受容体 / スピロリド / ファーマコフォア / 側鎖 / 構造展開 / 狂犬病ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複雑骨格天然物の「生物活性中心骨格」を抜き出し、それを中心とした系統的な構造展開および生物活性評価を行うことで、生命現象の解明や医薬品開発に有用な新規生理活性物質を生み出すことを目的とする。本年度でも引き続き、生体に広く存在し、生命機能維持に恒常的に働く膜タンパク質であるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に焦点をあて、その強力な阻害剤であるスピロリドの活性中心骨格から精密な構造展開を実施することを計画した。 前年度までに申請者は、骨格へのアミノ酸側鎖導入をより効率的に行うことを意図し、スピロリドの活性中心骨格構造の新規構築法の確立に成功した。その一方で合成反応の段階数や収率などの課題も生じたため、本年度は新たな骨格の設計・合成を検討した。すなわち、nAChRとスピロリドの複合体構造を基にし、大分大学で進めているペプチド擬態技術を駆使することで、相互作用に重要な側鎖の3次元構造を模倣した新たな三環性天然物様骨格を設計した。本骨格はスピロリドの活性中心骨格より簡便に合成可能であり、かつ3種類の側鎖を迅速に変換することで、構造展開を容易に行うことができると期待される。ドッキングスコアの良好な誘導体の一つを実際に合成し、狂犬病ウイルス増殖抑制試験を行ったところ、抗狂犬病ウイルス剤として市販されているT-705のIC50値=30μMよりも高い活性を示すことが分かった。狂犬病ウイルスは宿主のnAChRを介して神経細胞に侵入することが知られているため、本化合物の抗ウイルス活性はnAChRへの結合による効果であると考えている。
|
Research Products
(4 results)