2021 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫受容体Mincleのリガンド合成を基盤とした分子認識および細胞内挙動解析
Project/Area Number |
20K05733
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松丸 尊紀 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (90636549)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | C型レクチン受容体 / Mincle / 免疫調節 / 複合脂質 / 糖脂質 / 天然物 / 有機合成化学 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫受容体の一種である Mincleは、マクロファージなどの免疫細胞表層に発現し、微生物由来の複合脂質などを認識することで自然免疫を制御する。Mincleは、タンパク質表層に近いCaに糖鎖が配位することが知られているものの、特に脂質等疎水性部位の認識機構の詳細は不明である。またMincleのリガンド認識による細胞内挙動についてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、Mincleの複合脂質リガンドの合成法の確立および、関連化合物の合成を行うとともに、得られた化合物を用いたMincleの機能解析へと展開する。特にリガンド疎水性部位の認識機構とMincleおよびリガンドの細胞内挙動の解明を目指し、特徴的な脂質構造をもつ天然型リガンド、あるいはリガンド脂質部位へ機能導入した化合物の合成を行う。 本年度は前年度までに確立した手法を用いて、強力なMincleアゴニスト活性を示し、特異な脂質部位構造を有する天然型複合脂質の合成を達成した。さらに、誘導体合成を展開し、いくつかの関連化合物を得た。また、標的タンパク質との配位構造が知られており、脂質部位設計のための基礎情報が得られる糖脂質を基幹構造とした化合物の合成法を確立し、脂質部位改変誘導体の合成へ展開した。天然型構造あるいは脂質部位改変誘導体の化合物ライブラリを構築するとともに、活性評価を行うことで、複合脂質リガンド-Mincleの構造活性相関に関する新たな知見を得た。またリガンドおよびMincleの細胞内挙動を解析するための標識化合物の合成に成功するとともに、生細胞イメージング解析の礎を構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確立した手法を用いて、Mincleの複合脂質リガンドおよび関連化合物の合成を順調に達成しており、化合物ライブラリの拡充も進んでいる。また合成した化合物の活性評価を含む機能解析も進めており、リガンド認識におけるMincleの機能に関する新たな知見を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画全体として順調に進行中であり、引き続きリガンド合成に基づくMincleの機能解析を進める。これまでの合成手法を応用し、種々の複合脂質の合成へ発展させ、化合物ライブラリのさらなる拡充を目指す。得られた化合物は活性評価を行い、分子動力学計算の結果を元とした分子設計と併せて解析を進め、Mincleの分子認識機構の解明を目指す。また、Mincleおよびリガンドの細胞内挙動の解析に向けて、さらなる標識化合物を合成し、生細胞イメージングによるMincleの機能解明を目指す。
|
Causes of Carryover |
より効率的な機能解析を行うため、ある程度の化合物数をまとめて実験を行う必要があり、一部の化合物の実験を次年度に変更したことで、次年度使用額が生じた。
|