2020 Fiscal Year Research-status Report
抗がん活性を有するジテルペン配糖体の合成および分子プローブ調製に関する研究
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20K05737
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
庄司 満 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (30339139)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジテルペン / 抗腫瘍活性 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌から単離、構造決定されたジテルペン配糖体であるコチレニンAは、非常に魅力的な抗がん活性を有するものの、生産菌の変異により、現在は培養による供給が困難である。そこで、有機合成的手法による供給が切望されているが、未だ全合成は報告されていない。申請者はこれまで、コチレニンAのアグリコン部の三環性骨格の合成をほぼ完了するとともに、コチレニンAの糖部位に特徴的なビスアセタール骨格を構築した。本研究では、コチレニンAの化学合成による供給を第一段階の目的とし、研究を実施することとした。全合成による化学供給法確立後は、がんのシグナル伝達機構解明および新規抗がん剤の受容体タンパク質同定を目的とする分子プローブを調製し、コチレニンAの作用機序解明に向けた生化学研究に寄与しようと考えた。 研究代表者はこれまで、コチレニンAのA環部セグメントおよびC環部セグメントの合成に成功している。続いて、調製したこれら2つのセグメントを、パラジウム触媒を用いるクロスカップリングで連結したのち、閉環して8員環を形成し、コチレニンAのABC環部骨格の構築に成功したものの、生成物は不安定で、その後の化学変換が困難であった。そこで新たに、A環部に側鎖を導入したのちに同一フラスコ内でC環部と連結させる、三成分連結反応を検討することとした。現在までのところ、モデル化合物を用い、収率は中程度であるものの、ジアステレオ選択的に炭素-炭素結合形成反応が進行することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令をはじめ、研究活動が大きく制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
効率的なセグメントの供給法、セグメントの連結法、アグリコン構築法等を開発し、コチレニンAの全合成を達成するとともに、作用機序解明に有効な分子プローブを調製する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で研究活動が大幅に制限されたため。 次年度使用額については、これまでと同様に適切に使用する。
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