2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K05741
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
安野 理恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30392674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 恭雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (10358103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生物発光 / ルシフェラーゼ / ゴカイ |
Outline of Annual Research Achievements |
発光ゴカイは鮮やかな青緑色(510nm)の発光液を海中に分泌する。その発光反応の分子機構を解明するために、生体から抽出したルシフェリン溶液と動物培養細胞で発現させたルシフェラーゼタンパク質を用いてin vitro発光系を構築した。発光反応のpH依存性や温度依存性、塩濃度依存性などの解析を進め、ゴカイルシフェラーゼの生化学的特性を明らかとした。また一方で、実用化技術への展開を視野にいれると、ルシフェリンやルシフェラーゼタンパク質の安定性が悪く発光反応の再現性確保が困難である課題もあり、今後これら課題の改善方法の検討を進める必要がある。 ゴカイルシフェラーゼタンパク質を特異抗体の作成や結晶構造解析に供試するために、タンパク質の大量発現系の検討を進めた。発光ゴカイは海中に発光液を放出することからルシフェラーゼは分泌タンパク質であることが想定される。しかしながらルシフェラーゼを培養細胞で発現させると培養液に分泌されず、ほとんどは細胞内に蓄積する。そこで、シグナルペプチド様配列を既存の複数種の分泌タンパク質のシグナル配列に組換えてみたが、分泌効率の上昇には至らなかった。また、タンパク質の細胞内蓄積量とルシフェラーゼ酵素活性に相関がみられないことから、多くの生成タンパク質が不活性化状態で細胞内に蓄積されていることが示唆された。21年度は、分泌効率の上昇の検討とともに、不活性化状態で蓄積されたタンパク質の回収検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに導入したゴカイルシフェラーゼの発現システムにおいてルシフェラーゼの分泌効率が上昇したことで、in vitro発光試験を効率よく進められるようになり、計画していた生化学的解析結果を得られた。一方、結晶化試験に供試できる十分量の活性化タンパク質を確保するには至っておらず、今後の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
酵素活性の解析を継続するとともに、ルシフェラーゼタンパク質の大量合成にむけた検討を重点的に進める。また今年度は、生体サンプルの収集とともに組織化学的解析を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19のため参加予定していた国内・国際学会の延期となり、旅費に計上していた予算を使用しなかった。今年度(もしくは来年度)に延期開催される学会への旅費に使用予定である。
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