2021 Fiscal Year Research-status Report
PPARγリガンドの細胞内合成を光で制御するオプトケミカルツールの開発
Project/Area Number |
20K05742
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮前 友策 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30610240)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PPARγ / 生体直交型反応 / 細胞内合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体PPARγは、糖や脂質代謝の主要制御因子として知られる転写因子の一種である。その転写活性は、PPARγに結合する小分子リガンドの結合に伴う立体構造の変化により制御される。研究代表者らは、以前、PPARγのリガンド結合ポケットの特性を利用したリガンド開発のためのアプローチを考案し、共有結合型リガンドの創出に成功した。本法は、リガンド結合ポケットの空洞の大きさを利用し、結合ポケットの競合しない部位に同時に結合し、協調的な転写活性化を引き起こすリガンドのペアを同定した後、両者を融合させた単一の化合物を設計、合成するというものである。関連性の薄いリガンドペアを見出すことにより、既存化合物とは異なる新たな骨格の構造を持つ化合物の創出が期待できる一方、融合化合物の合成に多段階の反応工程が必要になることと、分子量の増加に伴う溶解性の低下が懸念される。本研究では、生体直交型反応を示す官能基を、見出したリガンドペアに付加した化合物をそれぞれ合成し、融合化合物の合成を細胞内で行うこと、最終的には光分解性保護基」を活用することで融合化合物の細胞内合成を光で制御する手法の構築を行うことを目的としている。 令和3年度は、前年度に合成した反応性官能基を付加した化合物を用いて、PPARγの転写活性の評価およびカップリング反応の検証を行った。 GAL4-UASシステムに基づくレポーターアッセイ系によりPPARγ転写活性に与える影響を評価した結果、反応性官能基で修飾した不可逆的アンタゴニストおよびけい皮酸誘導体の共処理で転写活性が増大した。続いて、これらの化合物が融合化合物を形成するか、in vitro系中でカップリング反応の検証を行った。その結果、原料以外に由来すると思われる新たなピークが検出され、反応の進行が示唆された。一方、その反応収率には改善の余地が残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カップリング反応の検証と転写活性の評価を終えたため、概ね計画通り、進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
カップリング反応の収率向上を目指すとともに、光反応性保護基を付加した化合物を合成し、光照射により活性が制御可能か、検討する。
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