2021 Fiscal Year Research-status Report
体外から制御可能な低エネルギー光ケージド化合物群の開発
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20K05752
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
家田 直弥 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (00642026)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光誘起電子移動 / ケージド化合物 / 一酸化窒素 / 橙色光 |
Outline of Annual Research Achievements |
実施者が開発した赤色光ケージドNOであるNORD-1を、神経因性もしくは糖尿病因性のEDモデルラットに投与し、光照射を行ったところ、海綿体内圧を光で上昇させることを確認した。これらの結果から、申請者の開発した赤色光ケージドNOが哺乳動物の血流不全による病態を改善できることが示唆された。 さらに、ケージドNOの構造活性相関研究を行っていく中で、ケージドNOのNO放出部位の水酸基をメチル化すると、ニトロソニウムイオンを放出することを見出し、さらにこのメチル化体はアスコルビン酸存在下でニトロソニウムイオンではなくNOを非常に効率よく放出することをセレンディピティ的に見出した。このメチル化体のアスコルビン酸駆動型NO放出は実施者が開発した従来のケージドNOよりも10倍高いNO放出量子収率を示した。さらにラットの大動脈切片を弛緩させる時間を測定したところ、従来化合物よりも素早く血管弛緩を起こすことを確認し、より高活性な"photovasodilator"として機能しうることを示した。 また、PeT型ケージド基に関しては、前年度に開発した青色光ケージド基で血管弛緩作用を示す薬剤を保護した化合物を合成し、この化合物が500nm付近の青色光に応答して血管弛緩を制御できることを確認した。加えて、PeT駆動型ケージド基のアンテナ部位を橙色光を吸収する色素に変換させた化合物が、より生体応用に適した590nm付近の橙色光に応答するケージド基として機能することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ケージドNOに関しては、セレンディピティ的に従来化合物を大きく上回る効率を有する化合物を見出し、さらに病態モデルラットにおいて、ケージドNOにより症状を改善できることを確認した。PeT駆動型ケージド基に関しては、ヒスタミンだけでなく、他の生理活性を有する薬剤の機能を光制御することに成功し、さらに前年度のBODIPYタイプより生体応用に適したさらに長波長光で制御可能なケージド基を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
ケージドNOに関しては、EDの病態モデルラットで血流改善できることを確認できたため、さらに他の循環器系疾患の病態改善にも応用できるかを検討する。さらに、前年度に引き続き、全身血流を循環できるようにDDS技術を組み合わせた新規ケージドNOを開発する。 PeT型ケージド基に関しては、より長波長光で制御するためにアンテナ部位を、近赤外光を吸収する色素に変換し、シグナル分子や抗がん剤などをケージし、それらの活性を低エネルギー光で制御できることを示す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの拡大により使用が制限され、学会参加などの旅費も未使用であったため、次年度使用額が生じた。今年度はかなり移動制限が撤廃されており、より積極的に実験を行うことができる。また、学会等への参加も積極的に行い、さらにこれまでの研究成果をまとめるためにいくつか論文発表を行い、その際のオープンアクセス化の費用などにも用いる予定である。
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Research Products
(6 results)