2020 Fiscal Year Research-status Report
シスプラチンの効果を高め副作用を軽減する新規がん治療戦略の開発
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20K05757
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤垣 英嗣 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (00612631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00331869)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シスプラチン / 腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの固形がんの標準治療として多用されるシスプラチンは強い腎毒性のために用量が制限され、腎障害が起きた場合は投与を中止あるいは減量しなければならない。投与時には腎障害を軽減させるために大量の輸液や大量の尿の排泄が必要であり、効果的な治療を行いながら患者のQOLを向上させるためには腎障害の予防が必要である。シスプラチンは腎尿細管でCysteine Conjugate beta-Lyase1(CCBL1)により強い腎毒性を示すチオール化シスプラチンに変換され、このことがシスプラチンによる腎障害の原因の1つとして考えられている。そこで、我々が同定したCCBL1阻害剤(化合物X)がシスプラチン誘発性腎障害を抑制できるかを検討した。 化合物XのCCBL1阻害効果をリコンビナント酵素を用いて評価した結果、化合物Xは酵素活性を有意に阻害することが確認された。また、腎尿細管細胞を用いた実験により、化合物Xはシスプラチンによる尿細管細胞死を抑制する効果を持つことが明らかになった。さらに、マウスにシスプラチンおよび化合物Xを投与した実験により、化合物Xはシスプラチン誘発性腎障害保護効果を持つことを明らかにした。 以上のように、今年度の研究により、我々が同定した化合物XはCCBL1を阻害しシスプラチンによる腎障害を防ぐことができることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、当初の予定通り化合物Xのin vitro、in vivoでの効果を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究により、化合物Xがシスプラチン誘発性腎障害保護効果を持つことを明らかにした。今後は、がん細胞を移植したマウスにシスプラチンと化合物Xを投与し、がん細胞の増殖および腎障害に対するシスプラチンと化合物Xの併用療法の効果を検証する。
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Causes of Carryover |
実験計画に従って消耗品や試薬を購入していたが、予定より安価に購入できたため差額が生じた。次年度は分子生物学的実験に必要な消耗品や試薬が増えるため、そのための購入費として計画的に使用する。
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