2020 Fiscal Year Research-status Report
酵素活性調節ペプチドの探索を目的とした進化分子工学技術の開発
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20K05761
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Research Institution | Kawasaki Institute of Industrial Promotion Innovation Center of NanoMedicine |
Principal Investigator |
上野 真吾 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 副主幹研究員 (30594650)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 進化分子工学 / 分子ディスプレイ / エマルションPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
進化分子工学は、(A) 触媒活性を評価基準とした酵素の改良、および (B) 分子親和性を評価基準とした標的結合分子としての抗体やペプチドの創製において一定の成果を上げている。しかしながら、両者の複合領域である(A+B)酵素阻害ペプチド等の探索においては、探索対象であるペプチドが標的に結合した結果生じる、酵素活性の変化を評価基準とすべきところを、技術的な制限から、標的結合能を評価基準として分子探索を行っているのが現状である。本研究は、触媒活性を測定可能なペプチドアレイによる、酵素活性調節ペプチド探索技術の構築を目指す。 本年度は、独自開発したビーズ上分子ディスプレイ技術 (PLディスプレイ)によるライブラリー調製方法の開発を進めた。PLディスプレイでのライブラリー調製は、エマルションPCRによる単一配列DNA固定化ビーズライブラリーの調製工程、DNA非固定化ビーズとDNA固定化ビーズの混合状態からのDNA固定化ビーズを濃縮する工程、DNA固定化ビーズライブラリーを再度エマルションに内包し、無細胞翻訳を行うことでタンパク質-DNA固定化ビーズライブラリーを調製する工程からなる。エマルションPCRにおいては、ビーズ含有PCR反応液のオイルへの導入方法を最適化することによって、エマルションに内包されるビーズとテンプレートDNAの分布がポアソン確率に従う手法を確立した。ポアソン確率によって、全ビーズの10%程度となるDNA固定化ビーズの濃縮方法を確立した。具体的には、ビーズ上に固定化された二本鎖DNAの末端を高効率に蛍光標識する手法を考案し、その蛍光を指標にFACSで濃縮することで、精製率・収率ともに90%以上となる方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自開発したPLディスプレイ法は、本研究開発以前は主として単一配列種での原理実証段階であったが、エマルションPCRおよびエマルション翻訳反応を適用することでライブラリー化が可能となり、計画通り本研究の最終目標に近づいた為。
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Strategy for Future Research Activity |
PLディスプレイ法において、エマルションでの翻訳反応は、バルクでの翻訳反応と比較して、ビーズ上に固定化されたタンパク質の活性が低くなる傾向がある。今後は、エマルションでの翻訳反応を最適化することでこの課題の解決を進める。 また、酵素活性調節能を観察するための、アレイチップの作製・アレイチップ上での溶液操作・アレイチップ上からのDNA固定化ビーズ回収の技術開発を進める。
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Causes of Carryover |
研究に必要な試薬購入額に満たない残額(700円)が生じた為、次年度の助成金と合わせて必要な試薬の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)