2021 Fiscal Year Research-status Report
酵素活性調節ペプチドの探索を目的とした進化分子工学技術の開発
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20K05761
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Research Institution | Kawasaki Institute of Industrial Promotion Innovation Center of NanoMedicine |
Principal Investigator |
上野 真吾 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 副主幹研究員 (30594650)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 進化分子工学 / 分子ディスプレイ / エマルションPCR / 無細胞翻訳 / 磁気ビーズ / マイクロウェル |
Outline of Annual Research Achievements |
進化分子工学は、(A) 触媒活性を評価基準とした酵素の改良、および (B) 分子親和性を評価基準とした標的結合分子としての抗体やペプチドの創製において一定の成果を上げている。しかしながら、両者の複合領域である(A+B)酵素阻害ペプチド等の探索においては、探索対象であるペプチドが標的に結合した結果生じる、酵素活性の変化を評価基準とすべきところを、技術的な制限から、標的結合能を評価基準として分子探索を行っているのが現状である。本研究は、触媒活性を測定可能なペプチドアレイによる、酵素活性調節ペプチド探索技術の構築を目指している。 昨年度に引き続き、独自開発したビーズ上分子ディスプレイ技術 (PLディスプレイ)によるライブラリー調製方法の開発を進め、エマルション内無細胞翻訳によって、任意のペプチドをビーズ上のDNAにディスプレイする手法を確立した。 加えて、マイクロメートルサイズのウェルが100万個搭載されたチップの射出成型技術の構築。酵素反応液とともにペプチド提示ビーズをこのウェルに分配し酵素反応を測定する技術の構築。任意のウェルからペプチド-DNA提示ビーズを回収する技術の構築を達成した。 これらの技術を統合運用することで、酵素活性調節ペプチドを提示するビーズを特定し、そのビーズを回収して、ビーズ上のDNAを解析することで、酵素活性調節ペプチドを特定することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自開発したPLディスプレイ法によるペプチド-DNA提示ビーズのライブラリー化の達成。 酵素活性測定用のマイクロウェルアレイチップの製造技術ならびに運用技術の構築。 これらの開発によって、計画通り本研究の最終目標に近づいた為。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で構築した、ペプチド-DNA提示ビーズのライブラリー化技術と、酵素活性測定用のマイクロウェルアレイチップの製造技術ならびに運用技術を実際に用いることで、酵素活性調節ペプチドの探索技術の構築を進める。 具体的には、既知の酵素阻害ペプチドを提示したビーズを用いて、マイクロウェルアレイチップ上で酵素阻害活性測定を行い、モデル探索実験を試行する。 最後に、ランダムペプチドライブラリーからの酵素阻害/促進ペプチドの探索を通して、本技術の有用性を検証する。
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Causes of Carryover |
ペプチド-DNA提示ビーズライブラリーの調製技術の開発が想定よりも早く進み、試薬使用量が想定よりも削減できたため。次年度の試薬の購入に充てることで研究の伸展に繋げる。
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