2022 Fiscal Year Annual Research Report
低投入を目指したイネ体内におけるミネラル再分配機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
20K05773
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三谷 奈見季 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40581020)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 輸送体 / 維管束鞘細胞 / ケイ素 / 再分配 / 分配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はSIET4の解析を主に行った。SIET4は昨年同定したSIET5との相同性が高い輸送体である。ケイ酸の排出輸送活性を持ち、地上部で恒常的に発現していた。siet4変異体は排出型ケイ酸輸送体Lsi2の相同遺伝子としてすでに作成済みであったことから、本年度この変異体の表現型を解析した。変異体では葉身におけるケイ素濃度に差はなかったものの、野生型で葉の表面やケイ化機動細胞に集積するケイ素が変異体では葉肉組織に沈積していた。これらの結果からSIET4はケイ素の特異的沈積に関与するト考える。さらにsiet4変異体はケイ素処理条件下での栽培により生育が著しく抑制された一方で、ケイ素欠乏条件下では野生型と遜色ない生育を示した。異所的なケイ素の沈積が原因だと考えられるが、具体的なメカニズムは不明である。 本研究において、当初目的としていた維管束におけるミネラルの輸送を担う輸送体を2つ同定できた。一つ目の輸送体は、SULTRファミリーに属する輸送体で、この輸送体は維管束鞘細胞より内側の細胞に局在し、リン酸の輸送活性を持つ。さらにT-DNA挿入変異体を用いた機能の解析で幼植物期における変異体は野生型に比べ下位葉に多くのリンが蓄積され、逆に最上位の葉で少なくなる結果が得られたことから、維管束内輸送もしくは師管への再ローディングに関わると考えられる。また二つ目のSIET5は葉とくに葉鞘の維管束鞘細胞の細胞膜に局在する。変異体を作成しミネラルの濃度を測定したところ、葉鞘においてケイ素の濃度が野生型より高く、逆に葉身においては低い傾向が見られた。他のミネラルには有意な差は見られなかった。以上のことから葉鞘において維管束組織からのケイ素の積み下ろしに関わると考えられる。SIET5、SULTRについては現在論文準備中であり、SIET4に関してはすでに投稿済みである。
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Research Products
(4 results)