2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K05782
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘川 宏之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60251576)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体膜 / 脂質輸送 / メンブレンコンタクトサイト / 出芽酵母 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
PP1複合体とSSV複合体の前胞子膜伸長における役割を知るための実験を行った。PP1複合体については、MS解析の条件検討を行い系の改善を試みている段階である。SSV複合体(Spo73-Spo71-Vps13)については、小胞体と前胞子膜の間のコンタクトサイトを形成して、そこで膜脂質を供給することにより前胞子膜を伸長させると推測しており、それを示すため以下の研究を行った。 1小胞体―細胞膜tetherタンパク質に加えて、複数のOshタンパク質が前胞子膜近傍に局在することを示した。Oshタンパク質はやはり脂質の輸送に関与するタンパク質であり、その前胞子膜伸長への寄与が期待される。 2以前行った、前胞子膜貫通タンパク質を用いたSplit-GFP解析に加えて、前胞子膜にAssociateするタンパク質を用いて、同様のSplit-GFP解析を行った。やはり、小胞体膜貫通タンパク質との相互作用が、前胞子膜近傍で観察され、コンタクトサイトの存在を強く示唆するデータを得た。 3Spo71の役割を知るため、Vps13との結合に必要なPXPモチーフを含むドメインを前胞子膜マーカーとの融合タンパク質として発現した。この融合タンパク質は、spo71破壊株で発現させると、Vps13を前胞子膜へ局在化させることはできたが、胞子形成欠損を回復することができなかった。これにより、Spo71にはVps13の局在化以外にも前胞子膜伸長に必須な役割があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PP1複合体の関与する前胞子膜伸長の分子機構解明については、今回は報告できることはなかったが、その分、SSV複合体の関与する前胞子膜伸長の分子機構についての解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PP1複合体の関与する前胞子膜伸長の分子機構解明では、MS解析の系の改善を進めているが、まだ結果が得られていない。さらなる実験系の改善により、PP1複合体のターゲットを明らかにしたい。また、相互作用タンパク質であるYsw1の役割の解析を一層進めたい。 SSV複合体については、電子顕微鏡観察により、コンタクトサイトの観察を目指す。また、コンタクトサイトにおけるOshタンパク質やtetherタンパク質の役割について、破壊株、多重破壊株を用いて明らかにする。 これらの研究を通して、前胞子膜形態形成の分子機構を解明し、細胞内新規膜構造形成の理解に寄与することを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は顕微鏡観察を優先して進め、生化学実験を十分に行えず次年度に回したため、次年度使用額が生じた。次年度使用となった分は、翌年分の助成金と合わせて、生化学実験の試薬、器具および関連する外注で使用する予定である。
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Research Products
(7 results)