2022 Fiscal Year Annual Research Report
ギ酸代謝関連遺伝子の探索とそれらを利用した高速ギ酸資化菌の創出
Project/Area Number |
20K05784
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊原 正喜 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (50391868)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | カーボンリサイクル / ギ酸資化菌 / 微生物培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、令和3年度までに単離された新規ギ酸資化菌の培養条件検討を行った。令和3年度からすでに問題となっていたが、新規ギ酸資化菌の増殖特性の再現性は非常に低くかった。具体的には、同様に培養開始しても、「開始直後から活発に増殖するサンプル」と「3~5日増殖せず、その後ゆっくりと増殖するサンプル」の2つのケースが観察された。また、「開始直後から活発に増殖するサンプル」においても、細胞凝集が顕著な(全細胞重量の70%以上)ケースと、軽微な(30%以下)のケースに分けることができた。 再現性について調べるため、植菌サンプルとして、様々なステージの前培養液、グリセロールストック液、寒天培地上のコロニーを使用し、炭素源であるギ酸を逐次自動投入するギ酸Fed-batch培養を検討した。しかし、再現性は改善されなかった。そこで、「溶存酸素濃度」を検討するため、導入する泡の大きさと攪拌方法を変えた。その結果、泡の大きさによって、最も大きな変化が観察された。散気管を用いてバブリングすることで溶存酸素濃度は顕著に増加し、8割のサンプルが「開始直後から活発に増殖するサンプル」となった。また、攪拌方法として、マグネチックスターラーを用いた方法、回転羽根を水中に入れてモーターで強力に攪拌する方法や、水中ポンプを用いる方法などを検討した。その結果、それぞれの溶存酸素濃度は大きく変化しなかったが、より強力な攪拌で、すべてが「開始直後から活発に増殖するサンプル」で「細胞凝集が軽微なケース」となった。ただし、バイオマス増加速度は、攪拌方法を変えても有意な差は観察されなかった。 研究期間を通じて、ギ酸資化菌の単離方法を確立することで、従来株よりも増殖能の高い新規ギ酸資化菌の単離に成功し、培養方法の最適化にも成功した。
|
Research Products
(3 results)